(質問)
午前中に1日の仕事が終わってしまいます。ゆるくて楽だけど、たまに不安になります。
(回答)
AIの活用やテクノロジーの進化による変化が激しい現代では、「ゆるくて楽」という仕事はいつまであるか分かりません。専門的なスキルを磨くことは、変化の激しい時代でも自分らしいキャリアを築くための武器になります。まずは今の職場で働きながらできることがないか考えてみてはいかがでしょうか。
詳しくは以下で解説します。
「ゆるくて楽」は、本当に“楽”ですか?
「午前中に仕事が終わってしまう」「ゆるくて楽だけど、たまに不安」というお悩み、一見うらやましい働き方ですが、実は意外と多くの人が直面している悩みです。最近では、このような働き方を「ゆるブラック」と呼び、将来のキャリアを考える上で注意が必要だと認識され始めています。以前女の転職typeが行った調査では、「ゆるブラック企業で働いた経験がある」と答えた人が約半数にものぼりました。そして、その人たちが「ゆるブラック」だと感じたポイントのトップ3は、1位「給料がずっと変わらない」(76.7%)、2位「ずっと昇進・昇格できない」(56.5%)、3位「スキルが身につかない」(53.9%)でした。
今の職場で「自分から動く」という選択肢
AIの発展が進んでいるこの時代、10年後も今の仕事が存在している保証はありません。例えば、単純なデータ入力や事務作業、電話対応の一部などは、生成AIや自動化ツールによって効率化され、人の手が必要なくなる日が来るかもしれません。もし、あなたの仕事がAIに代替されやすいものだった場合、今の「ゆるくて楽な環境」は、いつか終わりを迎えてしまう可能性があります。以前、転職イベントで、「ライフステージの変化を機に、今後のキャリアを考えて転職活動を始めた」という30代の方にお会いしたことがあります。その方は、なんとなく楽そうだからと就職したアシスタントの仕事を10年続けていて、いざ転職活動をしてみたら、強みとなるスキルがなかったことにがくぜんとしたとおっしゃっていました。このように、いざというときに自分の「強み」が見つけられず、これまでのキャリアを後悔するケースも少なくありません。
では、どうすればよいのでしょうか。
まずは、今の職場で何か1つでも新しいことを始めてみることをおすすめします。「○○の分野に興味があり、何か手伝えることはありませんか」と上司に相談したり、業務につながる資格取得に挑戦したり、業務効率化を提案したりなど、主体的に動くことで、今ある「楽」を「成長」に変えられる可能性があります。もし、それでも状況が変わらないと感じるなら、転職活動を始めるタイミングかもしれません。
「あなたにとっての楽」を明確にする
転職活動を始める際は、あなたにとっての「楽」を言語化し、「ここだけは譲れない」という軸を定めることが大切です。「楽」という言葉は、単に仕事量が少ないことだけを指すのではありません。例えば、「残業がないこと」なのか、あるいは「数字を追う責任がないこと」なのか、それとも「人と接しないこと」なのか、「通勤時間が短いこと」なのか……。その条件を明確にすることで、仕事を探すときの優先順位が見えてきます。
そのうえで、「どんなスキルを身に付けたいか」「どんな経験を積みたいか」という「成長」の軸を掛け合わせることで、あなた自身の市場価値を高めながら、無理なく働き続けられるキャリアプランを描くことができます。
いつか訪れる変化に立ち向かうための準備を
「結婚すれば安泰」と考える方もいるかもしれませんが、安易に頼れるものではないのが現実です。結婚する・しないや、子どもがいる・いないなどに関わらず、長い人生の中でライフステージの変化は予測がつかないものなのです。仕事がゆるくて楽だからと安心していると、いつか突然訪れる変化に立ち向かう術を持たないまま、不安に飲み込まれてしまうかもしれません。そうならないために、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
この記事の執筆者:
小林 佳代子
『女の転職type』編集長
新卒で(株)キャリアデザインセンター入社。転職情報誌及び転職サイト『type』『女の転職type』で、1000社以上の求人広告制作に携わる。2018年『女の転職type』編集長に就任。プライベートでは2児の子育て中。 女の転職type■https://woman-type.jp/ type■https://type.jp/
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