『ヒックとドラゴン』のアニメ版監督の1人であるディーン・デュボア自らが、今回の実写映画版でも監督を務めたことは特筆すべきでしょう。
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デュボア監督は「今回は原作の完全性を保ち、ファンに敬意を表すために監督を務めたい」と意欲を語り、目標は常に「アニメ映画に取って代わるものではなく、別のバージョンを作ること」だと強調。さらに「オリジナルの最高の部分を維持しながら、優れた、さりげない、そして重要な改良を加えています」と述べています。
その言葉通り、オリジナル版を手掛けた監督が再びメガホンを取ったからこそ、「アニメ版からほぼ変わっていない」「しかし細かい描写が加わっている」実写映画になっているのです。
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細かい追加要素が何かといえば、「リーダーとしての役回りが強調されたヒロインのアスティのキャラが深掘りされている」ことだったり、アニメ版では良い意味でややオーバーだったリアクションが、実写ならではの落ち着いたものになっていたり、スペクタクルシーンが増えている点。それらはアニメ版と見比べてみないと気付けないほど「さりげない」ことなのですが、それぞれが「実写化への最適解」と思える調整でした。
アニメ版ではブロンドに青い瞳をしていたアスティ役に、見た目のイメージが異なるニコ・パーカーが演じたことへの反発もあったとのことですが、実際に見てみれば、辛らつなセリフを放ちながら、芯が強く愛らしさも同居しているキャラクターを完璧に体現していて、見終わってみれば彼女以外の適役は考えられないほどでした。
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さらには、CG技術が進化してこそ、生身の人間やセットの舞台と同居してもまったく違和感のない、時に恐ろしく、時にキュートなドラゴンたちの造形とリアリズムにも感動があります(アニメ版のヒックとトゥースのキャラクターデザインは日本人の野口孝雄が担当!)。そうした実在感があるからこそ、ドラゴンに乗った飛翔シーンのスピード感と臨場感、そしてクライマックスの大迫力の見せ場もより「本物」として享受できるはず。