
日本語特有の謙譲表現やクッション言葉、絵文字文化、さらには英語における命令表現との違いなど、日本社会に根付く配慮の美学を通して、その背景について考察します。
「上から目線だけど、言いたいことは分かる」って?
「上から目線」という言葉を初めて聞いたのはいつのことだったでしょうか。ある時期からSNSやニュースサイトのコメント欄などで、この言葉を見かける機会が急増しました。時には、相手を慮ったアドバイスや率直な意見に対しても、「偉そうだ」「自分が正しいと思ってるんでしょ?」といったネガティブな反応が見られることも珍しくありません。
ヨーロッパに暮らす筆者自身、日本人観光客に向けて「気を付けた方がいいポイント」を簡潔にまとめた記事を書いたところ、「上から目線だけど、言いたいことはよく分かる」という意見を受け取ったことがあります。
日本人はなぜここまで「上から目線」に敏感なのでしょうか?
上下関係に対する強い意識
日本社会は「年上の人には敬語を使う」「先輩を立てる」「お客さまは神様」など、年齢・役職、立場といった上下関係に非常に敏感です。そのような環境で「こうした方がいい」といった率直な言い方をすると、たとえ悪意がなくとも、自分が“上の立場”から話しているように受け取られやすいのではないでしょうか。
特に日本では、人間関係は対等であるべきという感覚よりも、なるべく波風を立てずに(上下)関係を保つことが重視されるため、わずかでも上から言われたと感じると、関係性にひびが入ったと捉える人が少なくないのかもしれません。