私立中学受験への波及と公立高校の行方
さらに、この無償化の動きは、私立高校受験だけでなく、私立中学受験のエスカレートにまでつながる可能性があると松島さんは指摘します。「特に東京の場合、高校受験での入学枠が極端に減ります。中高一貫校が増えているため、私立の上位校に入るには中学受験が必須となる傾向があります。高校授業料が無償化されれば、中学の授業料負担だけで済むと考え、中学受験を検討する家庭が増える可能性も出てくるでしょう」
このように、無償化は私立高校受験、そして私立中学受験までもエスカレートさせる要因となり、保護者の悩みはさらに深まることが予想されます。
また、私立高校がより選ばれる状況が強まる中で、「公立高校がどうしていくのか」という点も大きな課題です。文部科学省は公立高校の将来的なあり方を示す「高校教育改革に関するグランドデザイン」(仮称)の中間まとめを8月中に行う予定ですが、そこで統廃合を加速する方針が示されるかもしれません。
これがさらに公立離れを加速させ、私立人気を押し上げ、ますます競争をエスカレートさせていく可能性も秘めています。 松島伸浩さん プロフィール
この記事の執筆者:前屋 毅 プロフィール
1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。最新刊『学校が合わない子どもたち~それは本当に子ども自身や親の育て方の問題なのか』(青春新書)など著書多数。



