「いい親」「いい教師」でなくていい! 公立小学校教師が考える、子どもと最高の関係を築く技術

子どもにとって常に「いい親」「いい大人」であるのは簡単なことではありません。それは教師も同じです。そこで現役小学校教師・松下隼司さんは、「先生である自分を演じている」といいます。この記事では、その極意を紹介します。

時には“素”を見せる演出が必要

ドラマや映画の撮影で、演技中に素を見せてしまうと「カット!」の合図が入り、撮影が中断されます。自分や相手がセリフを明らかに言い間違えてしまったり忘れてしまったりしたときに、役を離れて素の自分が出てしまうのです。

思わず笑ってしまったり、 沈黙してしまったり、「すみません!」と素直に謝ったりします。ハプニング映像として テレビで放送されることがあります。(役者にとっては恥ずかしいことだと思いますが、 観ている側としては楽しいです)

一方、演劇やお笑いの舞台は、演者が素を見せてもステージは続きます。素を偶然でなく、演出の1つとして意図的に取り入れていることもあります。

役の人物設定と素の自分を行き来するのが、観客にとって楽しみの1つなのです。 つまり、役者が演技中に人物設定を離れたり、芸人がお笑い中に場面設定を離れたりして、素の自分を出すことは、100%悪いことではないのです。

役者や芸人が、偶然(的)に“素”の部分を見せることは、観ている人にとって、
1. 楽しい・ドキドキする
2. 親近感をもつ
3. かわいい・がんばれと思う。ファンになる。

といった良いことが、観る側にも演じる側にもあります。

しかも、役者や芸人が“演じている人物設定”と“素”のギャップが大きいほど、1~3の効果が大きくなるのです。

教師も同じです。職場は、ずっと教師モードでなくても大丈夫です。少しぐらいの隙を見せた方が、自分もまわりもホッとします。親しみや安心感をもってもらえます。 休み時間や給食時間、放課後、定時以外は、素を出す絶好の機会です。
先生を続けるための『演じる』仕事術
先生を続けるための『演じる』仕事術
松下隼司さん
大阪府公立小学校教諭。令和4年度文部科学大臣優秀教職員表彰受賞。令和6年版教科書編集委員。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクール文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門優秀賞などの受賞歴を持つ。新刊『先生を続けるための『演じる』仕事術』(かもがわ出版、2025年8月19日発売)など著書多数。voicyで『しくじり先生の「今日の失敗」』を発信中。
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