先生の残業代「給特法」はどう改善されるのか
ここまでの給与体系や勤務条件などを見ると、給与面でも勤務条件面でもとても魅力的に見える教職ですが、東京を含め、どこの自治体も年々目指す若者がいなくなっているのが現状です。その原因は、多くの子どもを預かる責任の重さ、そして授業準備や校務、保護者対応や部活動などによって残業時間が多いイメージからきていることが考えられます。
それにもかかわらず、先生の残業時間は一般企業のように残業時間に応じて加算されていくのではなく、「給特法」と呼ばれる法律に基づいて残業代の代わりに一律で月給の4%(教職調整額)が上乗せされることになっています。これは昭和46年に制定されてから今日まで変わらず適用されています。
一定額で長時間労働を余儀なくされるため、「やりがい搾取だ」「定額働かせ放題だ」という声も少なくありません。
その「給特法」が今、見直されようとしています。
2025年6月、現状4%の教職調整額が10%に段階的に引き上げられることが参議院本会議で可決されました。これは来年から順次引き上げられるもので、毎年1%ずつ上げていくというスケジュールだそうです。
しかし、教職調整額が見直される一方で、特別支援学校・学級で働く先生の教職調整額を削減する方針が出されています。通常学級以上に一人ひとりへのケアが求められる特別支援の現場で働く先生たちの手当が削減されることに対して、反対運動も行われています。
先生の給与は地域によって違う
今回は東京都の先生にフォーカスを当てましたが、学校の先生の給与については地域によっても違いがあるようです。大切な子どもたちを預かり、育てる使命がある教師という仕事。働く先生たちが納得できる就業環境を整えることが、学校をよりよい場所にする最大の近道なのかもしれません。 この記事の執筆者:大塚 ようこ
フリーランス編集・ライター。子育てや教育、夫婦問題、ジェンダーなどを中心に幅広いテーマで取材・執筆を行っている。



