では、具体的にどんなことをしているのか、現役の小学校教師である松本隼司さんにお聞きしました。
(今回の質問)
先生にとって、夏休みだからこそできる仕事はありますか?
(回答)
研修参加のほか、遠足の下見は夏休みだからこそできる仕事です。
遠足の下見で一番重要なのは、トイレのチェック!? その理由は……
当然ですが、夏休みは通常の授業がありませんから、学校外に出なければならない業務ができます。その1つが遠足の下見です。
同じ学年の先生方と想定している遠足ルートをたどります。
具体的に何を下見するかというと、例えば電車で移動する遠足であれば、何番目の車両に乗るとスムーズに移動できるか、どこで集まるとよいか、お弁当はどこで食べるかなどです。
その中でも、もっとも注意深く見るのは「トイレの位置」。体調が悪くなる子どもが出てくることも珍しくはありませんから、トイレの位置は必ず確認します。
駅構内はもちろん、目的地においてもかならずチェックします。社会科見学や修学旅行などの下見でも同様です。
実は今年、大阪・関西万博に子どもたちを引率したことがありました。
かなり暑い日だったため、子どもたちの飲み物がすぐ空になってしまったので、希望者の水筒を集めて事前に確認しておいた水飲み場に水をくみに走りました。しかしそこもかなりの大行列だったので、結局売店でお茶を買って対応することに。
大きなペットボトルを何本も抱えて戻ったときには、子どもたちから「神様〜!」なんて言われましたが(笑)、どんなに下見をしてもこのような想定外なことが起こることもたびたびあります。
自己研さんの研修会は自費参加がほとんど。2学期以降の学習のための休日出勤も
それから、夏休みにはさまざまな研修会に行くこともあります。各教科の研修会が夏休み中に行われることが多く、自分の研究分野や興味のある分野の研修会に行っています。
学校や自治体から研究の一環として参加費が出ることもありますが、多くの場合は自費で参加しているのではないでしょうか。中には、遠方の研修会に参加する先生もいらっしゃいます。
運動会のための研修会もありますよ。ダンスがあまり得意ではない先生であれば、その研修会に行って振り付けやフォーメーションを勉強してきて、秋の運動会に生かすこともあります。
それ以外の仕事ですと、最近はアレルギーなどの観点から減りましたが、以前は学校で動物を飼っているところもたくさんありましたから、動物の餌やりなども夏休み中の仕事でした。
また、学校菜園の水やりは、変わらず先生の仕事です。
せっかく子どもたちが育てた植物を枯らさないように、そして休み明けに無事収穫できるように、土日も水をやるために学校に行っています。
夏休みで子どもたちが学校に来ない期間も、実はやることがないわけではなく、こうした準備や研修に時間を使っているんですよ。
松下隼司さん
大阪府公立小学校教諭。令和4年度文部科学大臣優秀教職員表彰受賞。令和6年版教科書編集委員。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクール文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門優秀賞などの受賞歴を持つ。新刊「先生を続けるための『演じる』仕事術」(かもがわ出版、2025年8月19日発売)など著書多数。voicyで『しくじり先生の「今日の失敗」』を発信中。
大阪府公立小学校教諭。令和4年度文部科学大臣優秀教職員表彰受賞。令和6年版教科書編集委員。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクール文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門優秀賞などの受賞歴を持つ。新刊「先生を続けるための『演じる』仕事術」(かもがわ出版、2025年8月19日発売)など著書多数。voicyで『しくじり先生の「今日の失敗」』を発信中。
この記事の執筆者:大塚 ようこ
フリーランス編集・ライター。子育てや教育、夫婦問題、ジェンダーなどを中心に幅広いテーマで取材・執筆を行っている。
フリーランス編集・ライター。子育てや教育、夫婦問題、ジェンダーなどを中心に幅広いテーマで取材・執筆を行っている。



