子どもや親の立場だとなかなか知ることのない「先生の夏休み」。一体どんなふうに過ごしているのでしょうか。
現役の小学校教師である松下隼司さんに、夏休みの仕事とちょっとした息抜きタイムについてお話を聞きました。
(今回の質問)
夏休み中、学校の先生はどんなふうに過ごしているのですか? 子どもたちと同じように休む時間もあるのですか?
(回答)
基本的には2学期の準備と研修などで、普段とほぼ同じように出勤しています。でも、いつもより息抜きできることも。
夏休みは運動会準備、教室整備など、やることがたくさん!
私の働いている地域では、運動会を秋に行うことが多いので、夏休み中は運動会の準備をしていることが多いです。プログラムや物品の準備はもちろん、個人的には表現種目の準備に力が入ります。ダンスなどの種目のことですね。その年によってはやった曲やダンスがありますから、私の勤務校では他学年の先生とかぶらないように希望表を掲示して、各学年の希望を先生たちが書き込むんです。その結果によって調整、時には相談しながら決定しています。人気曲は争奪戦になることもありますよ。
そのほかには、教室整備も夏休みだからこそできる仕事です。はさみやペン、画用紙などの整理はもちろん、掲示している子どもたちの絵画や作文などの作品の片付けもこのタイミングでしています。
飾りっぱなしではせっかくの作品が傷んでしまうので、定期的に片付け、張り替えを行っています。夏休み明けからまた新たな作品を飾れるように、教室のスペースをきれいにしています。
それ以外にも、授業力向上のための研究会参加、授業準備などを行っています。
まとまった休みを取る人は全体の3分の1くらい。夏休み中の年休の取り方とは?
普段はなかなか年休(有給休暇)を取得することができませんから、夏休み中にまとまった休みをとって海外旅行などを楽しまれる先生もいらっしゃいます。しかし、あくまで私の体感ではありますが、そのような長期休暇を取るのは3分の1くらいにとどまっており、多くの先生はほとんど毎日出勤されています。
子どもたちが栽培している植物や学校菜園の水やりなど、ほぼ毎日しなければいけないこともあるからです。
ただ、教師の年休は1時間単位で取れるので、いつもより少しゆっくり出勤する、いつもより1時間早く退勤するという使い方をされる方もいます。
私もそのような使い方をすることがありますが、それだけでもかなりリフレッシュできます。
いつもは数分で済ませるランチをゆっくり……夏休み中の先生の癒しタイム
「夏休みも出勤して働いているのか」「やっぱり教師は激務なんだな」と思われたでしょうか。それでも、個人的には夏休みの勤務はかなりゆとりを持って仕事ができています。
例えば、昼食の時間。普段の給食の時間は教師がもっとも気を張る瞬間です。アレルギーを持つ子どもや食事中の事故防止のための配慮、残食のないようにバランスよく給食を盛る指導などがあり、自分が食べる時間はほんの数分です。
夏休みはそれがありませんから、45分の休憩時間をゆっくり使って食事をしたり休んだりできるのはとてもありがたいですね。
そのほか、いつもよりもゆっくりと出勤できたり(普段は始業時間の30分以上前に出勤することも)、残業なしで定時で上がったりできるのも授業がある時期とは異なる点です。
いつもよりスローモードではありながら、多くの先生は夏休み明けに子どもたちが元気に登校してくることを楽しみにして夏休みを過ごしています。
松下隼司さん
大阪府公立小学校教諭。令和4年度文部科学大臣優秀教職員表彰受賞。令和6年版教科書編集委員。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクール文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門優秀賞などの受賞歴を持つ。新刊「先生を続けるための『演じる』仕事術」(かもがわ出版、2025年8月19日発売)など著書多数。voicyで『しくじり先生の「今日の失敗」』を発信中。
大阪府公立小学校教諭。令和4年度文部科学大臣優秀教職員表彰受賞。令和6年版教科書編集委員。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクール文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門優秀賞などの受賞歴を持つ。新刊「先生を続けるための『演じる』仕事術」(かもがわ出版、2025年8月19日発売)など著書多数。voicyで『しくじり先生の「今日の失敗」』を発信中。
この記事の執筆者:大塚 ようこ
フリーランス編集・ライター。子育てや教育、夫婦問題、ジェンダーなどを中心に幅広いテーマで取材・執筆を行っている。
フリーランス編集・ライター。子育てや教育、夫婦問題、ジェンダーなどを中心に幅広いテーマで取材・執筆を行っている。



