9歳以下の行方不明者、年間1000人。わが子を“連れ去り犯”から守るために親にできること

コロナ禍で一時は減少したと言われる「子どもの連れ去り」。最近は外を出歩く機会が増えて増加傾向にあります。セコムIS研究所の舟生岳夫さんに、子どもの連れ去りがいつ・どのように起きているのか、対策方法を伺いました。

服装が乱れている子は連れ去りのターゲットになりやすい

続けて、「連れ去り被害に遭いやすい子どもにも特徴がある」と舟生さんは言います。
 
「ズボンからシャツがはみ出ていたり、服装が乱れたりしている子は、隙があるように思われるのでターゲットになりやすいです。
 
あとは周りに関心がない子。ゲームやスマホに夢中で、変な人が近づいても気付かない。すると、急に声を掛けて子どもを驚かせ、冷静な判断ができない状態が作りやすいんです」
 
連れ去られる子どもの男女比は、「年齢が低いほど、差はなくなる」そう。
 
「男の子の保護者は警戒心が薄く、子どもが無防備なことが多い。年齢が下がれば下がるほど男の子もターゲットにされやすい傾向があります」

連れ去り予防は、「友達と一緒に下校すること」

連れ去りを予防するためには、どんな方法があるのでしょうか。1つは、友達と一緒に下校することです。
 
「友達との分かれ道まで、保護者が迎えにいくのもいいでしょう。なるべく子どもが1人になる時間を作らないようにしてください」
 
その上で、話し掛けられても断ったり、防犯ブザーを鳴らしたりする練習も大切です。
 
「自分の意思を伝えるのが苦手なため、誘われても断れない子には、『誰かのせいにする』方法をおすすめします。『お母さんと約束しているから、ついていけない』と不審者に伝えるんです。保護者は『もしそれで相手が怒ったら、後で私が謝ってあげる』と一言添えるといいですね。子どもも断りやすくなると思います」
 
中には、面識のある相手が連れ去りを行うことも。「大切なのは、相手が知り合いでも付いていかないこと」です。

親子の会話を増やして、子どものことを理解する

「保護者は普段から子どもと話す機会を増やし、どんなことをして遊んでいるのか。どんな友達がいるのかを把握しましょう。
 
昨今はゲームなどに夢中で、親子の会話が少なくなってしまう傾向があります。まずは保護者から子どもの好きなものに興味を持ってみてください。時には一緒にテレビやゲームを楽しむことで、話をするきっかけにつながります」
 
成長とともに1人で行動することが増えていく子どもたち。うまく見守る方法を探していきましょう。
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舟生 岳夫さん プロフィール
セコム株式会社 IS研究所 リスクインテリジェンスグループ チーフ研究員。キッズデザイン協議会理事、防災設備士。各種防犯セミナーの講師をはじめ、学校や施設のセキュリティポリシー策定コンサルティングなどを実施。セコム「子どもの安全ブログ」のモデレーターとして、子どもの安全に関する情報を発信し続けている。

この記事の執筆者:結井 ゆき江
フリーランスの編集者・ライター。中学受験雑誌の編集者として勤務した後に独立。小学校で発達障害グレーゾーンの児童をサポートした経験から、教育分野を中心にライターとして活動する。
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