「洗濯機で撥水加工の施された服を洗うと爆発する」って本当なんですか?【家電のプロが解説】

「洗濯機で撥水加工の施された服を洗うと爆発する」という投稿が話題を集めました。実際にあり得る話なのか、「All About」ガイドで、企業の製品開発のお手伝いやPR支援なども行うコヤマタカヒロが解説します。

洗濯機で撥水加工の施された服を洗うと爆発するって本当?
洗濯機で撥水加工の施された服を洗うと爆発するって本当?
梅雨の季節にも活躍する、撥水加工の衣類。洗濯機で洗ってしまうと爆発が起きる、という話もあるようですが、本当なのでしょうか。

「All About」ガイドで、企業の製品開発のお手伝いやPR支援なども行うコヤマタカヒロが解説します。
 

(今回の質問)
洗濯機で撥水加工の施された服を洗うと爆発するって本当ですか?

(回答)
正しく脱水ができなかった場合に、遠心力による破損事故が起きる場合があります。

どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

実際に洗濯機が壊れる可能性があります

表現として「爆発」と言われることがありますが、実際に爆発するわけではありません。ただし、実際に洗濯機が壊れる可能性があります。先日、SNSに洗濯機が爆発した様子が投稿され、大きな話題になりました。原因は防水シーツを洗濯したためで、実際に大きく破損した洗濯機と穴の空いた壁の写真も添えられていました。

縦型洗濯機では、洗濯槽に水を貯め、そこに衣類を浸けて、洗濯槽を回転させて洗います。また、脱水工程では、高速で回転させることにより、遠心力で衣類に含まれた水を抜きます。撥水加工された衣類や防水処理された衣類、シーツなどは、この脱水工程で正しく水が抜けません。大量の水を含んだ状態で脱水工程が進むと、洗濯機が遠心力に負けることがあるのです。

SNSで拡散された洗濯機の爆発(破損)は、こうして発生しています。洗濯機が壊れるだけでなく、自宅の壁が壊れている様子から分かるように、非常に強い破壊力なので、「爆発」といわれたようです。爆発のような壊れ方をしなかったとしても、洗濯機を支えるシャフトが曲がってしまったり、軸がゆがむこともあります。

企業も推奨していません

例えば、日立の縦型洗濯機の取扱い説明書の安全上のご注意には、「防水性の衣類・繊維製品は洗濯・脱水槽には絶対に入れない」と記されています。具体的な例として釣具ウエア、レインウエア、サウナスーツ、防水シートなどです。さらに、「洗濯物に洗える表示があっても洗わないでください」とまで記されています。

実際に、防水・撥水加工がされた衣類に「洗濯できる」と記されているケースがあるようです。しかし、衣類にそう書いてあったとしても、洗濯機で洗ってはいけません。撥水・防水衣類などは手洗いしましょう。

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この記事の筆者:コヤマ タカヒロ
1973年生まれ。家電とデジタルガジェットをメインに雑誌やWebなど様々な媒体で執筆するライター。執筆以外に監修やコンサルティングなども行っており、企業の製品開発、人材教育、PR戦略に関するアドバイザーなども務める。米・食味鑑定士の資格を所有。家電のテストと撮影のための家電スタジオ「コヤマキッチン」を用意。
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