同日公開となった映画『アマチュア』『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』『プロフェッショナル』を一挙レビューします!(※画像出典:(C)2025 20th Century Studios. All Rights Reserved. (C) 2024 CJ ENM Co., Ltd., Filmmakers R&K ALL RIGHTS RESERVED (C) 2024 CJ ENM Co., Ltd., Filmmakers R&K ALL RIGHTS RESERVED)
『アマチュア』 4月11日(金) 全国劇場公開 配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン (C)2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』配給:KADOKAWA、KADOKAWA Kプラス 4月11日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー (C) 2024 CJ ENM Co., Ltd., Filmmakers R&K ALL RIGHTS RESERVED
『プロフェッショナル』4/11(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 配給:AMGエンタテインメント (C) FEGLOBAL LLC ALL RIGHTS RESERVED
映画館では毎週注目の映画が上映されていますが、なんと『アマチュア』『ベテラン』『プロフェッショナル』が4月11日より同日公開されていることをご存じでしょうか。
主人公はとても優秀なCIAの分析官だったのですが、テロに巻き込まれ殺害された妻の復讐に乗り出します。序盤から脅迫といえる手段で特殊訓練への取引をする様から危ういのですが、何しろ彼は戦闘経験ゼロのデスクワーカー。その後の銃の扱いは下手そのもので、観客としても「あなた本当にそういうの向いていないって!」と本気で心配してしまいます。
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さらに、主人公がドアのピッキングを何から学ぶのか、主犯の居場所を知るためにどのような手段を使うのか、それぞれがアマチュアを下回ってもはや「素人」レベルでハラハラします。とある場面で「逃げまどう」様にはこっけいで笑ってしまいましたし、予告編でも見られる「ビルをつなぐ巨大プールのガラスを割る」場面は「CIA本部から追われる身なのにそんな目立つ方法取るのかよ!」といい意味でツッコミたくなりました。
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他のどのスパイ映画よりも危なっかしくて「無謀」な主人公像がほぼコメディーにも映る一方で、彼のとんでもない優秀さが意外な方向から発揮されたりもしますし、はたまた理詰めで犯人を追い詰める「冷静な狂気」が悲しくさえ思えますし、現実の世界でも深刻なテロへの怒りと問題提起もはっきりと打ち出されてもいます。
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主人公の「もう後戻りはできない」状況、頼れる人もごくわずかにしかいない中で希望をつかみ取ろうとする(あるいは希望を自ら手放すようにも見える)様も含めて感情移入できるはずですし、それは『ビーキーパー』とはやや異なるベクトルの「ナメてた相手が実は殺人マシンでした映画」としての魅力にもつながっています。時には「論理」により相手を上回るスカッとした爽快感もありますし、何より「手堅い面白さ」を求める人におすすめできます。
重要なのは、その殺人犯が法では裁かれない悪人を標的にしていることでしょう。いわば司法制度の「代弁」または「正義」の主張のように殺人を繰り返しているため、そのために一部では「支持者」も得ているのです。それに付随して、インフルエンサーの扇動やフェイクニュースなど、今の時代ならではの問題も作劇に反映されています。
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漫画『DEATH NOTE』(集英社)でも殺人者が世間から崇められる状況のいびつさが描かれていましたし、刑事たちが犯人の標的にされた人間をクズだと知りつつも守ろうとする構造は映画『藁の楯』をも思わせました。劇中では主人公の刑事が「殺人に良いも悪いもあるか!?」と言うなど、殺人そのものを断じて許さない姿勢が根底にあるものの、その倫理観が揺さぶられそうになる物語が刺激的で、また考えさせられるのです。
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被害者は泣き寝入りするか命を落としてしまうのに対し、加害者は平然と利益を得るという、韓国のみならず世界中にある問題提起が重要なのは前提として、基本はやはりアクション要素多めのエンタメ。「パルクール」のように飛んだり跳ねたり、「泥臭い」という言葉さえも似合うリアルな格闘場面も見応えがありますし、それをもってこの世の「理不尽」そのものに立ち向かうような志の高さを感じました。
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また、主人公はタイトルが示すようにベテランの刑事ですが、言動はかなり乱暴ですし、息子ともギクシャクしている状況で、決して褒められた人物でもありません。彼が危うさのある新人警官とどのように向き合い、事件に立ち向かっていくかという、欠点だらけの男の成長物語としても楽しめるでしょう。