若手教員の退職者が増加。何が原因?
近年、学校現場では教員の退職者が増加し、教員不足が深刻化しています。特に目立つのが、20〜30代の若手教員の退職率が高いことです。筆者の周囲でも熱心で優秀な先生が現場を離れるケースが多く、その先生方の個人としての幸せを考えると応援したい気持ちと同時に、「学校現場は?」「残された子どもたちはどうなるのか?」という不安も湧いてきて、複雑な気持ちになります。
そんな折、現役教師でありながら、SNSで学校教育について発信をしている自称「教員ブラック」氏と、元教員で現在保護者や教員向けにコーチング塾を主催しているドラゴン教育革命の坂田聖一郎氏のトークショーが開催されたので、取材してきました。
その中で語られたことや参加者の声を紹介しながら、教員の置かれている環境と退職を考える理由、日本の学校教育をこれ以上沈下させず、よりよくしていくために何が必要なのかを考えました。
ぜひ読者の皆さんも、教育現場の生の声を聞き、教育をよりよいものにしていくために何ができるのかを考えていただければと思います。
教員の労働問題が教育問題に置き換えられてしまう現場
2025年3月、東京都渋谷区の株式会社ドラゴン教育革命のオフィスで「教員ブラック×ドラゴン先生コラボトークショー」が開かれました。主催は同社代表で元教員の坂田聖一郎氏。大学卒業後、芸人を目指し現在「しずる」として活動する村上純さんとコンビ結成するも解散。その後大学院に進学し13年間の教員生活を経て、現在は2つの会社と1つの社団法人の代表として活動をしています。一方、自称「教員ブラック」氏(以下B氏)は、現役の数学教師(現在は小学校の算数専科教員として勤務中)で、SNSで学校現場のリアルを発信。自身のホームページでは、教員向けに無料でダウンロードできる数学プリントや授業で生徒に出題すると大盛り上がりするクイズネタを数多く紹介しています。
2026年3月末で退職すると公言しているB氏ですが、そのきっかけは、年間の休日が30日以下という教員の長い労働時間でした。
部活の顧問として本来の業務以外の大会運営なども担い、平日は朝6時半ごろに出勤し、退勤するのは夜7時半ごろ。毎日13時間ほど働き、土日は部活動でほとんど丸1日出勤。部活の顧問としてはほぼ無給で(というか自腹を切りながら)働いているにもかかわらず、誰からも感謝されることのないこの働き方をいつまでも続けるのは不可能ではないか……そう思ったことを、B氏はnoteでつづっています。
さらに、そんな現状を変えたいと学校内で動いたけれど「子どものためにやった方がよい」という同僚からの反対意見が追い打ちをかけました。
「労働問題が教育問題に置き換えられて、無駄な仕事を減らそうという意見は“悪”になってしまう。給料の上限も決まっている。長い拘束時間。残業代はなし。変化もない。この人生が自分の目指していた生き方なのか? もっと新しいことに挑戦してみたい。自分のできることで、他の先生の役に立ちたいと思った」とB氏。