
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』も追い抜いた
あの『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』や『アナと雪の女王2』、さらに2024年にアニメ映画史上1位の記録を塗り替えた『インサイド・ヘッド2』をも上回り、3月15日時点で世界興行収入は150億1900万元(約3100億円)を突破して、実写映画の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を抜き、世界歴代興行収入ランキング5位となっているのです。その興行収入のほとんどが、中国国内の売り上げによるものというのも脅威的。1月29日の公開からわずか3週間で国内の興行収入は119億5400万元にのぼり、その時点でそれまで中国国内で歴代1位だった『1950 鋼の第7中隊』(累計興行収入57億7500万元)の2倍以上にもなっていたのです。
海外でも中国系移民や中国にルーツを持つ人が劇場に多く訪れているようで、北米では3週連続トップ10入り、オーストラリアとニュージーランドでは過去20年間の中国語映画の最高上映記録を達成、この日本でも3月14日より先行公開された中国語・英語字幕版が9日間で興行収入1億円を突破しています。
メガヒットの理由は「圧倒的なクオリティー」や「愛国心」にある
誰もが気になるのは、この『ナタ』がなぜこれほどまでにメガヒットになったのか、ということでしょう。それは、作品としての圧倒的なクオリティーの高さ、とても間口の広いエンターテインメントであることに加えて、中国国内での「愛国心」が大きく影響していると思われます。
だからこそ、今回の続編への期待も大きかったのは間違いなく、実際に作品のスケールはさらに広がり、世界観の作り込みや、クライマックスのスペクタクルは、すさまじいという言葉でも足りないほど。その期待をはるかに上回っていたと言えるでしょう。
さらに、主人公およびタイトルにもなっている「ナタ」は、中国の有名な物語『封神演義』に登場するよく知られたキャラクターであり、そのほかの設定や世界観も大胆ながら、中国の文化や物語をリスペクトしています。

後述もしますが、今作は世界で起こる問題のメタファーと思われる要素もあり、それを持って中国の「誇り」や「未来」をも喚起しているともいえるため、国民にとってはより「刺さる」ものだったのでしょう。
また、本国での宣伝手法はSNSでのショート動画、タイアップや街頭広告など日本でもよく見られるものですが、その「物量」が圧倒的で、例えば公式動画は1日に10本も公開されていたのだとか。
ともかく、自国のアニメ映画が「すごいことになっている」という評判が評判を呼び、中国国民の熱狂的な支持をさらに加速したと考えられるのです。

さて、ここからは見る前に知ってほしい3つのポイントについて語っていきましょう。日本ではほとんどの人にとって「続編から見る」ことになるのですが、それでも大きなスクリーンで見てほしい理由も併せて解説します。