「ガラガラ」は初日だけ? ついに始まった「中央線グリーン車」の車内の様子を調査&リポート
JR中央線快速および青梅線で3月15日からグリーン車サービスが始まった。2024年10月からの半年近いお試し期間とはどこが違うのか、車内の様子はどう変わったのか? 乗車リポートをお届けする。
2階建てグリーン車を2両組み込み、12両編成で走る中央線快速電車
JR中央線快速および青梅線で、2025年3月15日のダイヤ改正からグリーン車サービスが正式に始まった。2024年10月から半年近いお試し期間があり、多くの利用者にはおなじみだった2階建てグリーン車。電車によっては満席が相次ぎ、混乱気味だったが、ようやく正式運用となり、有料サービスとなった。お試し期間とはどこが違うのか、車内の様子はどう変わったのか? 早速乗車してきたのでリポートする。
東京駅から中央線快速グリーン車に乗車
折り返し駅では係員が車内の清掃、座席転換、乗客の誘導などを手際よく行っている
3月15日、中央線快速&青梅線でグリーン車サービスが始まった。開始初日は土曜日。天気がよくなかったせいもあり、グリーン車はどの列車もガラガラだったとSNSなどで報じられていた。
もともと首都圏各線のグリーン車サービスは土休日の利用状況は低調で、それゆえ以前は格安のホリデー料金が設定されていたほどだ。最近は物価高もあってか、グリーン料金が見直され、101km以上の乗車料金が新たに設定されるなど値上げされている。そんな中のサービス開始である。
開始後の実態を取材するため、平日の初日に当たる3月17日(月曜)のお昼前に中央線の始発駅である東京駅に赴いた。
中央線の快速電車は本数が多く、ひっきりなしに発着している。朝のラッシュアワーは過ぎているが、電車のドアが開くと、かなりの乗客が降り、足早に下りのエスカレータへと向かう。グリーン車からも数人が降りる。空いてはいるもののガラガラという状況ではなさそうだ。グリーン車のドア脇には係員がゴミ袋を持って待機、降車客に声を掛けながら空き缶などの回収をする。
座席は自動的に転換、全て進行方向を向き整然として乗客を向かい入れる
係員は、降車客がいなくなったのを見計らって、ホームで列をなして待っている人々が中へ入るのを制しながら車内へ。見回りと簡単な清掃を行った後、ドア付近にあるボタンを押す。すると、座席が自動的に回転して、全部の座席が進行方向を向く。お試し期間中の座席は乗客それぞれが回転させる必要があったため、面倒がって反対向きに座る人もかなりいた。見た目にも落ち着かない車内だったが、整然とした車内は高級感が漂う。
ホームにはグリーン券専用の券売機が設置された
係員がドア脇に立ち、ほかの係員と連絡を取った後、準備が整ったようで手招きで促されて車内へ。いつの間にか7~8人が並んでいた。ホームでは新たに設置されたピカピカの専用券売機でグリーン券情報を手持ちのSuicaに記録している人の姿も見られた(紙のきっぷは発券されない)。
前に並んでいた人は1階に降りて行ったので、筆者が先頭になって2階へ。席はよりどりみどりだ。席を決めると、座る前にポケットからスマホを取り出し、グリーン券を購入済みのモバイルSuicaを天井にある「グリーン券情報読み取り部」にタッチする。ランプが赤から緑に代わったことを確認して着席。座席をリクライニングしてゆったりすると同時に電車は動き出した。すぐに車内放送が始まる。
中央特快大月駅行きの車内
見慣れた都内の車窓もゆったりとドリンクを飲みながら眺めると気分が変わる
乗ったのは中央特快の大月駅行きで、停車駅の案内、そして4号車と5号車はグリーン車で利用するにはグリーン券が必要であるとの放送。これは、もちろんお試し期間にはなかった案内だ。
しばらくすると、アテンダントさんが見回りに来た。天井のランプが赤になっている人がいれば、グリーン券を持っているかどうか聞く。慌ててSuicaを取り出して読み取り部にタッチしてランプの色が緑に変わることもあるが、いまだお試し期間が続いていると思い込んでいる人もいる。アテンダントさんが、車内グリーン料金を払いますか? 普通車に移動しますか? と糺(ただ)す。有無を言わさず料金を請求しないところは優しい。見た限りでは、ほぼ全員が普通車に移動していた。
神田駅、御茶ノ水駅では乗り降りがなく、四ツ谷駅で1人、新宿駅では4人ほど乗車。大きなスーツケースを持った外国人カップルは、アテンダントさんにグリーン券の有無を聞かれると、普通車に移動していった。まだまだ不慣れな人が少なくないのでアテンダントさんも忙しそうだ。