フランスで「歩行者の信号無視」が多いのはなぜ?「赤信号で待っていたら日本人」と冗談にされるワケ

海外の道路事情は日本と異なることが多く、フランスも例外ではありません。在住者の視点から、驚きの運転マナーや交通ルールの違いを紹介します。

パリ中心部の道路
日本と異なるフランスの交通ルール(写真は筆者撮影、以下同)
海外旅行ではバスやタクシーといった「乗り物」にお世話になることがほとんどです。しかし、現地の運転マナーや交通ルールが日本と違うため、ヒヤリとする場面に出くわしたことがある人も多いのではないでしょうか。

筆者が暮らすフランスも例外ではなく、これまで「危ない!」と驚いたり、「えっ、こんな運転するの?」と不安に感じた場面が何度もありました。

実は車より多い「歩行者の信号無視」

パリの横断歩道
フランスの横断歩道でよく見かける光景
フランスに住んでまず驚いたのは、「歩行者の信号無視」がとても多いことです。彼らにとって「赤は止まれ、青は進め」というルールはあってないようなもの。左右を少し確認するだけで、ためらうことなく横断歩道を渡ってしまいます。

さらに驚くのは、途中で車が近づいても慌てる様子がないこと。運転手が急ブレーキをかけて止まっても、小走りになるわけでもなく、「止まって当然でしょ」といった表情のフランス人を見て、日本との違いをしみじみ感じました。

日本では「赤信号では渡らない」と厳しく教えられてきたため、たとえ車が1台もいなくても待つのが普通です。実はこの行動、フランスでもよく知られていて、「赤信号でちゃんと待っていたら日本人」という冗談があるほどなのです。

フランスの小学校でも「歩行者用の信号は守るように」と教えられるそうですが、周囲の大人たちがルールを守らないためか、その教えも成長とともに忘れ去られてしまうのでしょう。

ドライバー同士のけんかが絶えない

パリの目抜き通り
パリの目抜き通り
フランスのドライバーは、歩行者に優しいというイメージがあります。常に歩行者が最優先で、歩行者専用の信号がない横断歩道では、きちんと一時停止して「どうぞ」という合図を送ってくれます。歩行者が堂々と道を渡る理由には、こうした背景があるのかもしれません。

ただ、これが車同士になると話は別。ハンドルを握ると気が荒くなる人が多いようで、都会でも地方でもドライバー同士のけんかがあちこちで勃発しています。日本ではあまり見かけないような激しい言い争いも珍しくなく、フランスの道路事情を象徴する光景の1つになっています。

バイクもまた同じで、車の間を猛スピードで駆け抜けていく様子には、何度も「危ない!」とハラハラさせられました。渋滞時には、バイクのライダーが車に向かって「邪魔だ」「通せ」と言わんばかりのハンドサインを送っていることも。いずれも日本では考えられない現象です。
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ドライバーは肩身が狭い? 変わるパリの道路事情
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