
【前回の記事「“最強無敵”なK-POPグループ『EXO』の驚くべき軌跡」(#46)はこちら】
EXOが韓国音楽界の頂点に上り詰めた理由

K-POPゆりこ(以下、ゆりこ):私としても「まだまだEXOの魅力を伝えきれていない!」という心残りがあったので大変ありがたいです。読んで感想をくださった皆さん、ありがとうございます。
矢野:前回はEXOが“いかに”すごいか、という今までの功績や音楽面の話を取り上げました。その話を聞くうちに、ふと疑問が湧いたのです。なぜ彼らは社会現象を巻き起こし、今も残る個性的な名曲をリリースし続けてこられたのだろうと。
ゆりこ:EXOが成功した背景、理由は多々あると思いますが、まずは選び抜かれた絶妙な「メンバー構成」と、デビュー時の「時代背景」が考えられます。
矢野:そういえばあまりメンバーの話をしていなかったので、まずはそこから聞きたいです。
ゆりこ:前回、矢野さんから「EXOの音楽はブラックミュージックから影響を受けている?」という質問が出ましたよね。どちらかというと彼らの音楽はHIPHOPベースではなくR&B寄り。つまりメロディーを大事にした、“ボーカル主導型”だと思います。しかもEXOにはすさまじく歌唱力が高い、声質も歌い方も違うメインボーカルが3人もいます。通常、K-POPグループのメインボーカルは1人または2人のケースが多いですし、複数いても歌唱法または声質がやや似通っているケースもあります(それ自体が悪いということではありません)。そして言いづらいのですが……ライブで生歌を聞くと「あれ?」と思う、ピッチが不安定なメインボーカルもいないわけではない。
矢野:全ての条件を満たすメインボーカルがそろっているのは奇跡的ということですね。 ゆりこ:EXOのメインボーカルは圧倒的な声量と高音パートなら誰にも負けないチェンさん、そして奥行きと深みと色気のあるとにかくイイ声! なD.O.さん。この2人は韓国の芸能事務所の中でも最も歌唱力を重視すると言われているSMエンターテインメント(以下、SM)の理想とするボーカルスタイルだと思います。音も外さないしフェイクも巧み。バラードも緩急をつけながら、盛り上げるところはかすれることなく、力強く伸びやかに歌い上げられる。その上で、2人の声は一瞬で聞き分けられるほど個性があり、同じ管楽器でもトランペットとサックスぐらい違います。そこにもう1人ベクヒョンさんという“新しい声”が加わることでEXOのメインボーカルラインは最強of最強になるわけです。
矢野:ん? “新しい声”とは一体どんな声ですか?