恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」 第114回

「たのしーと」って何? 5両編成化の懸念は? 東武野田線の新型車両「80000系」を徹底解説

東武野田線に新型車両80000系が登場、このたび報道陣に公開された。キャッチコピーは「人と地球によりそう電車」。沿線に多く暮らす子育て世代の家族が快適に利用できるようなデザインと車内設備が個性的だ。

将来を見据えた5両編成化に懸念の声も

5両編成
10両編成を見慣れると短く感じる5両編成の80000系
80000系は5両編成。これまでの野田線は6両編成だったので1両短くなる。沿線人口が漸減(ぜんげん)傾向にあり、利用客もコロナ禍前の水準に戻っていないため、環境負荷軽減のため1両減らしたとのこと。

もっとも、流山市のように人口が増えている地域もある。一部区間のラッシュアワーの混雑は激しく、5両編成化に懸念を示す声も聞く。場合によっては、区間運転の増発も検討課題であろう。
60000系と並ぶ
80000系の後ろに停車中の60000系
80000系は、最初の数編成は5両全てを新造するが、導入予定の25編成のうち18編成は、4両のみ新造する。そして、60000系を6両編成から5両編成に短縮化する際に派生する1両を80000系に流用して5両編成に組み替える。サステナビリティの観点からの施策とのことだ。

古びたイメージを一新する新型車両と新駅舎

8000系
長年にわたって活躍を続けた8000系も引退が近付いてきた
復刻塗装
往年の塗装で活躍する8000系の動態保存車8111F(柏駅にて)
野田線には半世紀ほど活躍を続ける8000(はっせん)系がまだまだ主力として頑張っている。これに取って代わるのが新たに登場する80000(はちまん)系だ。デビューは2025年3月8日の予定である。
野田市駅
高架化によって新しくなった野田市駅
野田市駅周辺も近年高架化され、単線のままではあるが、面目を一新した。新たな時代を迎え、東武野田線(愛称「東武アーバンパークライン」)の一層の発展が期待される。
 
取材協力=東武鉄道
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この記事の筆者:野田隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。
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