賛否両論の大河ドラマ『べらぼう』はヒットするのか? テンポ感のいいポップな脚本で若者ウケを狙う!?

今年の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』が放送を開始し、SNSでは賛否両論が巻き起こっています。この記事では、元テレビ局スタッフが『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』のどこが面白いのか、魅力を解説していきます。(サムネイル画像出典:番組公式Webサイトより)

2025年の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』が、1月5日から放送をスタートしました。横浜流星さんが主演を務め、江戸時代のポップカルチャーをけん引した天才・蔦屋重三郎(通称・蔦重)が主人公。幕府公認の色街である吉原を舞台として、「江戸のメディア王」となっていく蔦重の奮闘が描かれる作品です。

初回放送は、2024年放送の『光る君へ』を下回る大河ドラマ史上最低の世帯視聴率を更新。また、これまでの大河ドラマになかったポップな雰囲気の作品となり、SNSでは賛否両論が巻き起こっています。

そこで、この記事では『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』はヒットするのかを元テレビ局スタッフが検証していきたいと思います。まだ見ていない人は、ぜひ視聴の参考にしてください。

豪華キャストが目白押し! 横浜流星が作る“ポップな大河”

まず、大河ドラマで毎回話題になる豪華な出演者から見ていきましょう。主演は前述したとおり横浜さんで、ヒロイン・花の井(五代目瀬川)を小芝風花さんが担当。そのほか、安田顕さん(平賀源内)、生田斗真さん(一橋治済)、渡辺謙さん(田沼意次)といった豪華キャストが勢ぞろいしています。

さらに、九郎助稲荷と語りを綾瀬はるかさんが務め、吉原で働く面々として高橋克実さん、小野花梨さん、久保田紗友さん、伊藤淳史さん、安達祐実さんが登場。そのほか、桐谷健太さん、橋本愛さん、染谷将太さん、原田泰造さん、福原遥さんら豪華キャストが出演予定です。
 
出演者の中で、なんといっても注目すべきは主演の横浜さんです。横浜さんが演じる蔦重は、貸本屋から成り上がり書籍の編集・出版業で大活躍する人物。喜多川歌麿、葛飾北斎、東洲斎写楽などを世に送り出した天才とされ、若い世代でも興味が持てるようなキャラクター設定です。貧しい庶民の子に生まれ、幼くして両親と生き別れた過去を持ち、分かりやすい出世物語を見せてくれます。

そんな蔦重を、横浜さんは魅力たっぷりに演じています。蔦重はどんな困難にもめげない江戸っ子ですが、横浜さんは大河ドラマとは思えないくらいポップに表現。コミカルな演技を見せる場面も多いのですが、わざとらしくない繊細な演技を見せています。

横浜さんといえば、ラブストーリーから、映画『ヴィレッジ』『正体』などで見せたどす黒い本格的な芝居もできる俳優として有名。若手イケメン俳優の中では演技力が高いことで知られ、蔦重の人懐っこさや何をしでかすのか分からない危うさをうまく表現しています。

ギャップのある花魁役を小芝風花が見事に表現

また、ヒロインを務める小芝さんの演技も注目です。小芝さん演じる花の井(五代目瀬川)は花魁で、幼いころに親に売られた暗い過去を持ちます。

小芝さんの演技の注目ポイントは、昼と夜の顔の演じ分けです。蔦重の幼なじみでよき理解者の花の井は、昼間は分かりやすいヒロイン的な明るい一面を見せます。しかし、花魁として働く夜は妖艶な雰囲気を漂わせ、男たちを翻弄(ほんろう)する美女に変貌。第2話では蔦重のピンチを救うため男装姿を見せるなど、小芝さんの美しい衣装姿にも目を引かれます。

この五代目瀬川は史実に残る名妓ですが、最終的には悲運な人生をたどることが戯作などで語り継がれています。今後、どんな演技で伝説の花魁の栄光と悲劇を小芝さんが見せるのか楽しみです。
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『べらぼう』の魅力は脚本にある!?
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