賛否を呼ぶ改変もあれど、それも「シンクロする構造」として納得
それでも、実写ドラマ版『【推しの子】』で賛否を呼んでいることとして、劇中の漫画『東京ブレイド』を舞台化するパートが「実写ドラマ化」へと代わり、ジャンルも「推理もの」と変更されたことがありますが、筆者はこちらも大いに肯定したいです。この改変で、まさに実写ドラマである本作と劇中劇がシンクロしている構造になっています。さらにその終幕などで、原作とはやや違う描き方が新たな感動を呼び、それでいて原作の芯を外していていない、作劇上の工夫としても納得できるものだったからです。
総じて、実写ドラマ版『【推しの子】』は、原作から議論されていた「実写化」というアプローチについて作り手が考え抜き、とことんクオリティーを突き詰めたからこそ、ここまでの完成度になったといえるでしょう。12月5日21時より配信されるドラマの続きである7〜8話、続く12月20日より劇場公開される実写映画『【推しの子】 The Final Act』にも大いに期待しています。
この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。