実写ドラマ版『【推しの子】』絶賛レビュー! 齋藤飛鳥が完璧で究極の「星野アイ」だった理由

Amazoプライムビデオで配信スタートした実写ドラマ版『【推しの子】』が掛け値なしに素晴らしいクオリティーでした! 星野アイ役の齋藤飛鳥を筆頭に、絶賛します!(サムネイル画像出典:【推しの子】ドラマ&映画公式Xより)

2:他キャストも理想的、特に原菜乃華の毒舌に大笑い!

齋藤飛鳥だけではなく、出演者の全員の演技が素晴らしくて、筆者としてはみんなに「最高of最高」と言いたい勢いです。原作で、クールもとい“陰キャ”な印象から恋愛リアリティーショーで“陽キャ”を演じるギャップまでを見事に表現した星野アクア役の櫻井海音、お兄ちゃん子でアイドルになるという絶対的な信念を持つ星野ルビー役の齊藤なぎさも、演技・存在感・ルックスともに文句のつけようがありませんでした。
その中でも個人的な推しは、有馬かな役の原菜乃華。原作でも、ツッコミを入れたり、はたまたイジられたりするコメディーリリーフ的な立場でもありましたが、実写では原菜乃華の声のトーンと表情が絶妙で、彼女が「おい! 全部聞こえてんぞ!」「ああ? 早速解散すっか!?」といった毒舌を口にするたびに大笑いできるほど。だからこそ、アクアが気になること(恋心)も、俳優としての苦悩もギャップとなり感情移入ができました。

YouTuberのMEMちょ役に個性の強い「あの」というキャスティングには、少しだけ不安もありましたが、本人がインフルエンサーでもあるため、劇中で「バズらせのプロ」を名乗ることも含めて説得力は抜群。ぶりっ子なようでいて、実は冷静な視点や後ろ向きな気持ちを持ちつつ、行動力のあるMEMちょに確かにハマっていました。

さらには黒川あかね役の茅島みずきも、精神的に追い詰められる心理の表現はさることながら、あるシーンで「違う人物に見える」場面では、実写ドラマ独自の舞台と演出ゆえの説得力があり、その工夫と彼女の演技そのものに感動しました。

さらには、YouTuberのぴえヨン役に野田クリスタルという配役にも大笑いしつつも、その筋肉量を思えば大いに納得。周りの大人の役柄も、斉藤ミヤコ役の倉科カナ、五反田泰志役の金子ノブアキ、鏑木勝也役の要潤など、それぞれ理想的な配役および演技でした。
さらに、子役も達者で、特に有馬かなの幼少期を演じた永瀬ゆずなの「ここはプロの現場なんだけど? ったく監督もなに考えているんだか」といったセリフが原作やアニメの印象のままで感動するほどでした。

3:実写化の意義も存分!

さらには、「実写化」の意義も大いに感じました。何しろ、そもそもが芸能界の裏側で渦巻く心理を描く作品であり、もちろん漫画とアニメのかわいい絵も魅力的なのですが、実写ではそこに実際の俳優が演じることで「生々しさ」もプラスされ、さらには「ドラマの撮影現場」「アイドルのコンサート」も実写という「本物」を見せるからです。

例えば、劇中の漫画原作のドラマ『今日は甘口で』の撮影においては鳴嶋メルト役の簡秀吉による「ヘタな演技のうまさ」が際立っていますし、恋愛リアリティーショー『今からガチ恋始めます』のパートの終幕にある「映像」や、「新生B小町」のパフォーマンスやその時に有馬かなが見た光景にも、「実写だからこそ」の新たな感動があります。

さらには、この『【推しの子】』という実写ドラマ化そのものをメタフィクション的に捉えた構造も新たに備えています。実はドラマの1話では“転生前”の描写やアクアたちの幼少期の出来事を大胆に省き、40分の尺になるまで刈り込んでいています。そのテンポの良さも美点なのですが、さらに5話ではその理由の一端を、明らかに「セルフツッコミ」をするような場面が付け加えられていたりもするのです。

そもそも、「『【推しの子】』は芸能界だけでなく、漫画作品の実写化についてもさまざまな言及を、時には批判もしている作品であり、だからこそ原作者の赤坂アカは「実写化する事はないんじゃないか」と思っていたともコメントしています。
しかし、むしろ今回の実写ではそこにも自己言及的で、原作にあった「人気漫画の実写化で炎上は免れない。宿命だよ」といったセリフも積極的に拾い、その厳しさを踏まえてこそ、キャスティング、原作へのリスペクト、美術と画作り、さらには実写という表現を生かした映像面での演出まで、こだわり抜いていることが伝わるのです。
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賛否を呼ぶ改変もあれど、それも「シンクロする構造」として納得
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