(質問)
職場で旧姓を使い続けてもいいですか? 新姓は手間です。プライベートな事情もあまり知られたくありません。
(回答)
職場で旧姓を使用することは法律上可能ですが、職業上の制約や社内規定によって、使用できないこともあります。旧姓を使用する場合も、事務的な手続きが必要になることがありますので、まずは上司や人事部に相談してみましょう。
詳しくは以下で解説します。
職場で旧姓を使用することはできる?
職場で旧姓を使用し続けることは法律上可能です。『女の転職type』が会員向けに実施した調査では、60.3%の人が「職場で旧姓を使い続けることができる」と回答しています。 一般財団法人労務行政研究所が2018年に民間企業440社を対象に実施した調査によれば、社員の旧姓使用を認めている企業は67.5%に達し、2001年の30.6%から2倍以上に増加しています。時代的な背景もあり、社内で旧姓を使用できる企業は増えてきていることが分かります。このような流れはありますが、給与口座や社会保険などの諸手続きやシステムの都合などを理由に、社内規定として旧姓使用ができない企業もあるのが現状です。職場で旧姓を使用する際も、旧姓を使用するための手続きが必要になる場合がありますので、まずは人事に相談するようにしましょう。
もし旧姓を使用するのが「不可」という回答だった場合には、その理由を確認し、それが社内での古い慣習によるものなのであれば規定自体を見直してもらえるよう相談するのも1つの手です。
旧姓を使用するメリットとデメリット
「プライベートを知られたくない」と質問者からあったように、改姓には、わずらわしさや、不便さを伴うこともあります。女性を対象に「(職場で)姓を変えて困ったことは何か?」を聞いたところ、以下のような結果が得られました。 長く働いている職場であればなおさら、名前と業務の結びつきが強くなるため、新姓に変わると不便に感じることが多くなるかもしれません。旧姓を使用し続けることで、こうした問題を避けることができるだけでなく、中には仕事とプライベートの切り替えができるようになったという意見もありました。給与振り込み用の口座や戸籍上との名義が異なってしまうため事務作業上の手間は増えてしまうかもしれませんが、旧姓を選ぶメリットは十分にあることが予想できます。
転職後にも旧姓を使用することはできる?
アイデンティティーの観点から、転職後にも旧姓を使いたいと考える人もいるのではないでしょうか。法律上、転職後にも旧姓を使用することは可能ですが、結婚後の職場では利便性を重視し、旧姓を使用していたけれど、転職を機に、戸籍上の名前、新姓を使う人も多いというのが現状です。しかし、転職先で旧姓を使用できるかどうかは企業文化に依存します。入社手続きの際に人事担当者に相談してみるようにしましょう。
また、転職活動の際に使用する履歴書には戸籍上の姓を記載する必要があります。人事側は応募書類で入社の手続きをしますが、その際「旧姓を使用しますか」という確認はされないことが一般的なので、面接時・入社面談時に相談するか、履歴書の備考欄にその旨を記載するとよいでしょう。
自分のアイデンティティーやプライバシーを守りたいという気持ちは尊重されるべきですが、職場の文化や周囲の理解も大切です。コミュニケーションを大切にし、ご自身にとって最も快適でストレスの少ない選択ができることを願っています。