「永福町駅」には何がある? 老舗ラーメン「永福町大勝軒」がある商店街、コンパクトだけど魅力的な街
「永」い幸「福」という縁起のいい名前を冠する「永福町駅」。閑静で落ち着いた雰囲気の住宅街が広がる街ですが、そのほかの見どころは何があるのか。駅を降りて確かめてみましょう!
お寺や神社で歴史巡り
永福町は、北側に善福寺川、南側に神田川が流れ、その間に大小いくつかの神社仏閣が建っている特性からか、緑が豊富な街でもあります。物静かな住宅街の中、木々や植栽で目を癒しつつ、のんびり歴史散策をして楽しむこともできそうです。
駅南口から歩いて数分の場所にあるのは「
永福稲荷神社」。1530年に、京都伏見稲荷大社より宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)を永福寺境内の鎮守として創建され、明治維新後に永福寺から分離して単独の神社となったそうです。
境内はイチョウの木が見事! 狛犬の代わりにまつられているお狐様から、じっと見つめられているような気がしてきます。
その近くにあるのが、前述の通り地名の由来となった「
永福寺」。ここは曹洞宗の寺院であり、境内はこじんまりとしつつ、おごそかな雰囲気が漂っています。敷地内には寺の由来などに関する案内看板もありますが、お寺の方々や檀家さんが利用している場所でもあるので、見学は静かに短時間で済ませる方がよさそうです。
駅へ戻り、今度は北側の住宅街の中を進んでいきます。
10分ほど歩いた先にある「
大宮八幡宮」は、平安時代の1063年に源頼義によって創建された非常に歴史深い神社。都内の神社でも3番目にあたる約1万5000坪もの土地面積を持ち、
東京都のほぼ中央にあることから「東京のへそ」という異名もあります。参道がとても広く、両側から木々の緑が覆いかぶさって、木漏れ日のトンネルのようです。
境内は緑が繁って、何とも荘厳な気配をたたえています。取材時はちょうど七五三シーズンで、平日ながら数組のご家族がお参りしていました。
同じ境内では「杉並大宮菊花展」も開催されており、さまざまな年中行事の場にもなっているようです。
神社の隣には「
大宮の杜緑地」という公園もあるので、こちらで自然散策や野鳥などの観察をするのもいいでしょう。
和田堀公園は、広々として川沿いランニングにもおすすめ
大宮八幡宮を後にして善福寺川を渡った先に広がるのが「
和田堀公園」。善福寺川に沿う形で広がっており、公園全域が東京都の防災拠点にも指定されています。公園内の樹林が東京都保護樹林に指定されており、カワセミやウグイスなど希少な鳥類も生息しているとのこと。東京23区でカワセミを見られるなんて驚きですね!
和田堀公園でも特におすすめなのは、善福寺川に沿った遊歩道。善福寺川の水面が静かに波立つ音や、木々のせせらぎにゆったり包まれる環境で、心地よくランニングなどができます。
園内の野球場は大豪雨や洪水の際に、雨水を一時貯留する「調節池」も兼ねているとのこと。神田川と善福寺川に挟まれた、永福町近辺らしい都市機能も備えています。
園内には「杉並区立郷土博物館」も併設されています。ちょっとしたお散歩から家族でのレクリエーション、休日のバーベキュー、地域史や自然について学べる場、時には非常時の避難場所など、さまざまな側面から地域を支えている公園です。
永福町はのんびり&住環境良好
永福町の街中は平日昼になると、犬を散歩するご老人、ベビーカーを押す夫婦などをあちこちで見かけることができ、住環境のよさがうかがえます。親切な人も多く、先述の「リトナードから富士山が見える」というネタも、偶然立ち話をした地域のおじいさんから教えてもらいました。
永福町駅の周辺は駅ナカを除けば大掛かりな商業施設こそないものの、逆に駅ナカだけで買い物を完結させれば、さほど不便なく生活できます。喧騒(けんそう)が少なく、緑や水に富んだ環境で心の温かな人も多いので、マイペースにゆったりライフスタイルを作りたい人におすすめです。
この記事の筆者:デヤブロウ プロフィール
都内在住の街歩きライター。Yahooエキスパートとして台東区の地域情報を発信するほか、「macaroni」など複数メディアで執筆を行う。飲食店、博物館、銭湯巡り、寺社探訪を中心に地域情報を発信中。東京シティガイド検定を取得済み。