10億ドル規模ともいわれるビジネス帝国を築き上げてきた世界を代表するエンターテインメント界の大物で大富豪のディディは、これまで豪華な生活を謳歌(おうか)してきた。豪邸に暮らしながら欲望にまみれた生活を送ってきたディディが今、犯罪者として追い込まれ、現在はニューヨーク州の拘置所で保釈金なしの状態で拘留されている。
成功を欲しいままにしてきたディディにいったい何が起きたのか。
元恋人による「閲覧注意」の訴状
ディディの「帝国」を崩壊させる大きなきっかけとなったのは、ディディについてとんでもない疑惑を訴えた女性歌手のキャシー・ベンチュラだった。ディディはこの疑惑を激しく否定。すると、訴えが起きた翌日にはディディとベンチュラは訴訟を「和解」で解決した。
ただ、ディディの悪行は以前から彼の周辺ではよく知られていた。ディディの私生活が異常であることは長らく“公然の秘密”だったのだ。ディディは「パフィー」というニックネームでも知られているが、その名前の由来は、彼が短気で、怒りっぽい性格というところから来ている。激怒すると、ふーっと息を吹き出す(そういう動作を英語ではPuffと言う)クセがあるからだという。
そんな証言に加え、元彼女からの告発もあり、ディディを取り巻く環境は雪崩のごとく崩れていった。
ビジネスパートナーだった男性も「性的暴行」の被害を主張
ベンチュラとの和解からすぐ後に、今度は別の被害者とされる2人が訴訟を起こしたのである。まず、ディディのミュージックビデオに出演したことをきっかけに仲良くなった女子大学生が、1991年にディディから薬物を盛られて性的暴行を受けたと主張。しかもディディはその様子を撮影し、他人に見せていたという。さらにその告訴の翌日には、同時期に当時16歳だった女性が、ディディと仲間の歌手に酒を飲まされ、性行為を強要されたと訴え、また別の日にも、非常に暴力的な性行為を強いられたと主張した。
ディディはこうした疑惑を真っ向から否定。ディディの弁護士も、金銭目当ての言いがかりに過ぎないと表明していた。
ところが、2024年2月にディディと長らくビジネスパートナーだった男性が、自身もディディから性的暴行を受けたとを訴え、連邦民事不正行為でも訴訟を起こす。ディディが違法な銃を振り回し、スタッフやゲストに定期的に薬物を盛り、未成年の少女を含む男女に無理やり性行為を行っていたと激白する事態になった。
その後もディディの成人した息子なども巻き込み、いくつもの性的暴行に絡んだ訴えが続いた。