筆者が実際に被害に遭った、スリ犯人の特徴
「集団スリ」のほとんどは、若い女性グループです。彼女たちは11~14歳くらいの東欧系の少女で、小ぎれいな装いをしているためスリには見えません。しかし筆者が被害に遭った地下鉄でのスリは、彼女たちの犯行によるものでした。「普通に友達としゃべっているのかな?」と思っていたところ、持っていたショッピングバッグから商品(化粧品)をごそごそと探るような音が。身動きが取れないよう、5~6人の女性にがっちりと囲まれましたが、大声で「ピックポケット(フランス語でスリの意)!!」と叫んだので、事なきを得て全員が次の駅で降りていきました。
このように大声で叫ぶと、周りにもスリがいることが知らされ、犯人は手を止めることがあります。また、周囲の乗客が止めに入ってくれることも。「アジア人は大人しい」と思われがちですが、スリに気づいたら思いっきり大声を上げてみてください。
「アジア人は狙われやすい」は本当
さらに、ショッピングバッグで両手がふさがっている人も狙われやすいです。スリの対象はスマートフォンや財布だけでなく、香水、バッグ、コスメ、ファッションといった高級品であることも。そのため1人旅の女性は特に気をつけた方がいいのですが、グループでの旅行であっても、バッグ(できればファスナー付きの物)を抱えるようにして持ったり、スマートフォンに気を取られないといった注意が必要です。
「過剰な対策」くらいがちょうどいい
他にも、最低限の現金しか持ち歩かない、おしゃれな格好をしない、ポケットに入れるのはティッシュくらいで、スマートフォンとクレジットカードは肌身に離さない……と、パリでスリを避けるには「過剰」くらいがちょうどいいと思います。パリのスリは策略家ですし、常にチームで動いています。被害に遭わないためには、最初から目を付けられないことが大切です。
とはいえ、「慣れた頃」に遭いやすいのがスリ被害。住んでいれば1年目より2年目、旅行であれば初日より最終日……と、「今まで大丈夫だったから」という“慣れ”によって犯人に狙われてしまうことも。世界屈指の観光地にはスリもたくさん集まってくるので、パリでは十分な対策を取るようにしてくださいね。
この記事の筆者:大内 聖子 プロフィール
フランス在住のライター。日本で約10年間美容業界に携わり、インポートランジェリーブティックのバイヤーへ転身。パリ・コレクションへの出張を繰り返し、2018年5月にフランスへ移住。2019年からはフランス語、英語を生かした取材記事を多く手掛け、「パケトラ」「ELEMINIST」「キレイノート」など複数メディアで執筆を行う。