2NE1の真骨頂は弱さに寄り添ってくれる“ネガティブソング”
ゆりこ:でも実は、彼女たちの“神髄”は人の弱さを歌ったバラード曲にアリ! というのが持論です。私も含め、2NE1ファンが口をそろえて名曲と認める『UGLY』という曲があるのですが、ぜひ聞いてみてください。あるお仕事で出会った人気タレントの方も、周囲とは違って特徴的な自分の外見について悩んだ思春期に、この曲に共感して救われたとおっしゃっていました。
矢野:「UGLY=醜い」ってなかなかストレートな曲名!
ゆりこ:自分をきれいだと肯定できない、自己嫌悪に陥った心情をきれい事なしで表現している曲です。タイトルからしてTLCの『Unpretty』にも通じるものを感じます。『I AM THE BEST』とは正反対でしょう。
矢野:自己肯定感高めなイメージがあるので、意外です。今、歌詞を読んでみたのですが、超ネガティブ。自己肯定感が底をついています。
ゆりこ:このギャップがすごくないですか? 多くの人は「自分っていいじゃん」と思える日もあれば「自分なんてダメだ」と自己嫌悪に陥る日もあって、それを行ったり来たりしているんですよね。もしかしたら自信満々の日よりも何となく自信が持てない日の方が多いかもしれない。その人間の弱さをきちんと歌っている。それが共感を呼び、うわべの励ましではなく聞く人をエンパワーメントしてくれる部分だと思うのです。
矢野:2NE1はスタイリングやダンスパフォーマンスを見るといかにもスタイリッシュでとがっていて、ともすると近寄りがたいほどのカリスマ性も感じるのに、曲は寄り添ってくれるんですね。
ゆりこ:そうそう。加えて2NE1の失恋ソングは全部名曲と言っても過言ではないです。強気に吹っ切ろうとする『I DON'T CARE』が有名ですが、個人的には『IT HURTS』という未練タラタラ曲がオススメ。2NE1の曲聞いて泣いたことある人、全員仲間だって思っています!
矢野:ああ、そうか。2NE1の復活がなぜこんなに喜ばれるのか、少し分かった気がしました。単にかつて人気があったレジェンドグループだからというだけじゃない。彼女たちが多くの人の心の傷に寄り添ったり、落ち込んだ気持ちをアゲてくれたり、つまり「救ってきた」からなのではないでしょうか。
ゆりこ:2NE1は憧れの存在でもありつつ、理想の女友達で姉妹みたいな不思議なグループ。きっと聞く人によって刺さる曲、歌詞、タイミングも違うと思います。だからいつ出会っても遅くないし、今からでも聞いてみてもらいたい曲ばかりです。
矢野:そういえば、今回の復活で新曲リリースはあるのでしょうか? 気になりませんか。
ゆりこ:もしかしたら特大サプライズで何か準備してくれているかもしれませんね! 4人がそろっただけでも十分、と思いつつも期待してしまう欲しがり屋な私がいます。2024年版のバージョンアップした2NE1の活動が本当に楽しみです。
【ゆるっとトークをお届けしたのは……】
K-POPゆりこ:韓国芸能&カルチャーについて書いたり喋ったりする「韓国エンタメウォッチャー」。2000年代からK-POPを愛聴するM世代。編集者として働いた後、ソウル生活を経験。
編集担当・矢野:All Aboutでエンタメやビジネス記事を担当するZ世代の若手編集者。物心ついた頃からK-POPリスナーなONCE(TWICEファン)&MOA(TOMORROW X TOGETHERファン)。