作品の楽しみ方:好きな順番で鑑賞
会場は、空間デザイナーの西尾健史さんが空間設計を手掛け、来場者はまるで迷路のように構成された空間を好きな順番で辿りながらアート鑑賞を楽しむことができます。
デザイナーの山口萌子さんによるグラフィックや什器(じゅうき)デザインが並ぶ会場内は心地よく、来場者は思い思いに過ごせる工夫が施されています。
「ライブラリー&ラウンジ」は、アートについて学んだり、考えを巡らせたり、誰かと対話したりできるスペース。ライブラリーには、嗜好の異なる複数の書店が「スクイグル」をテーマに選んだ書籍約100冊が並び、自由に手に取って読むことも。
「スクイグル」しながら、それぞれのペースでアート鑑賞を楽しめます。
注目の作品を紹介
同展では、若手アーティストを中心とした16組による作品(うち8組は新作)が展示されています。注目の作品をピックアップ。
写真作品ができるまでを体験
まずは、会場内最大規模で常設展示される、写真家の川谷光平さんのインスタレーションから。「写真は、いま、1番身近なメディア」と話す川谷さん。入口(=写真を撮るための準備)から出口(=作品発表)までのプロセスを展示することで、誰でもその瞬間や過程を自分に身近なものとして体験できるのではないか、という趣旨で構成したとのことです。川谷さんの撮影現場や頭の中をのぞき見られるような内容に興味津々。
サボテンと人との関わりが「こうだったら」
続いて、GROUP《港 / Manicured Cactuses》(2024)。今回の会場が「港」であることから、ヨーロッパから鑑賞用や薬用として伝わったサボテンをモチーフとして採用。「港を介しての伝わり方が別のものであったとしたら……、サボテンと人との関わり方がこうだったかもしれない」と想像して作られた、柱や家具、什器(じゅうき)、楽器など15の作品が並んでいます。
2度と同じ色が見られない……!
河野未彩《HUE MOMENTS》(2024) は、光の三原色を応用したカラフルなインスタレーション作品。3灯の光源から色が変化する光をオブジェに投影することで、いろいろな色の影が映し出されるというものです。いつまでも眺めていられる美しい作品ですが、2度と同じ色は見られないそう。
玉砂利と自分を重ねて
反対にとても静かな作品は、山田愛《流転する世界で》(2024)。暗がりの中には直径5メートルの大きな黒い円盤が。その上に「お墓でもらってきた」という玉砂利が並べてあります。玉砂利はきれいに手で洗ってあるそう。1つとして同じ石はありません。長椅子に座って作品を眺めることで「自分の起点を見つめ直すような時間になれば」と山田さんは話します。
ワークショップも実施
このほかにも、黒いシートに鳥が落とすフンで作品が出来上がる光岡幸一《Hyahbling Star》(2024)や、沼田侑香さんのアイロンビーズ体験や中島佑太さんの《今日の遊び場》といったワークショップが行われるものなどもあります。開催日時などの情報は同展のInstagramをチェック。