パスポート保有率17%の日本人に「海外旅行」は高嶺の花なのか? 空港関係者らに聞いてみた

円安の今、日本人にとってハードルが高い印象がある「海外旅行」だが、実情は? 夏休みシーズンを目前に、旅行ジャーナリストが航空会社や空港関係者に動向を聞く。

「欧米やハワイは高値」の今、航空会社が推すエリア

LCC「タイベトジェット」
LCC「タイベトジェット」の案内チラシ(筆者撮影)
さらに、アジア系航空会社の担当者から「この円安では、行き先次第」という話も。

「欧米やハワイなど今は高値で、現地で楽しみづらい状況。ベトナム、タイ、フィリピンなど、この機会にまだまだ物価が安い国・地域へ行くのがおすすめです」と言い、「首都などでなく、地方都市を狙うのも手。例えばタイだと、バンコクでなくチェンマイとか。地方は物価やホテルも安い傾向にあります」とのことだった。

日本人のパスポート保有率は「17%」だが……

日本人のパスポート所有率は17.0%にとどまるが……
日本人のパスポート保有率は17.0%にとどまるが……
外務省が毎年発表する「旅券統計」によると、2023年末時点で、日本国内在住日本人の有効旅券数は2064万5745冊。つまり、パスポート保有者の割合は全国民の「17.0%」で、コロナ前の78%にとどまる。パスポートの有効期限は、5年または10年で、その更新には費用が必要だ。コロナ後に海外旅行の旅費が上昇傾向の中、「海外へまた行きやすくなった時に、パスポートを更新すればいい」と考える人も少なからずいる。

日本は、地域ごとに見どころやグルメなどが豊富で、海外旅行せずとも国内旅行だけで十分に旅が楽しめるのも事実。しかし、海外へ出てこそ得られることは非常に多く、特にそれぞれの経験は貴重なものとなる。

欧米やハワイといった、日本人にとってこれまで人気だった海外旅行先は、現時点で、特に旅費の面で厳しい。だが、世界は広く、定番以外にも数多の国や地域があり、それぞれに現地でしか得られない経験は多々ある。

飛行機はLCC、宿泊先はAirbnb、移動はUberやGrab(東南アジアを中心に展開する配車アプリ)など、安価な手段も普及している。行き先や過ごし方、楽しみ方などを以前と変えてみると、海外旅行はまだまだ楽しめる要素は十分にある。

<参考> 
2024年夏休み(7月15日~8月31日)の旅行動向」(JTB)
関西国際空港・大阪国際空港・神戸空港 2024年5月利用状況」(関西エアポート)
旅券統計」(外務省)
 
この記事の筆者:シカマ アキ
大阪市出身。関西学院大学社会学部卒業後、読売新聞の記者として約7年、さまざまな取材活動に携わる。その後、国内外で雑誌やWebなど向けに取材、執筆、撮影。主なジャンルは、旅行、飛行機・空港、お土産、グルメなど。ニコンカレッジ講師をはじめ、空港や旅行会社などでのセミナーで講演活動も行う。
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