今回、航空会社や空港関係者らに「もはや海外旅行は手の届かないものなのか」どうかなどを聞いてみた。
>日本人が予約した「海外」と「国内」ナンバー1は?
2024年夏、人気は「近場」で欧州も回復傾向
行き先としては、韓国や台湾などアジアを中心とした近隣への短期旅行が引き続き人気で、欧州など遠方へ長期で旅行する意向もやや回復。さらに、「円安の影響が少ない地域」を選ぶ傾向もあるという。
いずれも前年と比べると、コロナ禍の入国規制があった頃より、「海外旅行に対する抵抗感がなくなった」のが垣間見られる。
「旅行費用が安くて済む近場」が人気なのは健在でありつつ、旅行先として人気が高いヨーロッパのような遠方へも足を運ぶ人が増えたと見られる。
理想は「もっと遠方」だが……現実は厳しい
実際、「海外旅行、もっと遠方へ行きたい」というのが大半の人々の本音だろう。昨今の円安や現地の物価高などの影響で、「近場で我慢」という人が多いと考えられる。
筆者は昨年2度、欧州へ行った。特に、ドイツやフランスなどの国々では現地の物価がコロナ前より上昇し、ランチで3000~4000円、ホテルも3つ星クラスで1泊2~3万円した。滞在期間が長くなるほど旅費がかさみ、対ユーロでの日本円が弱い日本人旅行者への厳しさを実感させられた。
また韓国や台湾を訪れた際も、以前より物価が上がり、ホテル代も倍近くなり、飛行機の運賃も高止まり状態で、旅費合計でコロナ前の2倍はかかった印象だ。
しかし近距離かつ滞在期間が短いため、ヨーロッパなどと比べると旅費としての出費は少なくて済む。国内旅行では満足できず、「どうしても海外」にこだわる人々とって、韓国や台湾など身近な国・地域が人気というのがこういった事情であるのは間違いない。
海外旅行イベント盛況、空港や航空会社は……
関西エアポートによると、来場者2500名を予想したところ、3833名(速報値)が来場した。入場料は事前申込400円・当日申込500円で、朝10時の開場前から多くの人々が並んだ。年齢層や性別もさまざまで、旅行セミナーなどは軒並み満席、出展ブースはどこも長蛇の列となっていた。
コロナ後に急増するインバウンドに対し、アウトバウンドは苦戦が続く。関西空港における国際線の旅客数は、2024年5月(速報値)で、日本人が全体の約14%と、外国人が圧倒的に多い。
関西エアポートの担当者は、イベントの盛況ぶりを目の当たりにし、「為替の問題もあり、日本人のアウトバウンドはまだまだ低調な状況ではありますが、皆さまの旅行に対するマインドが非常に高いことが再確認できました」と語る。
出展した航空会社や観光局などからも「来場者の熱意に驚いた」「現地に関する突っ込んだ質問や、『早く行きたい』という声もとても多かった」などの感想とともに、LCC(格安航空会社)のブースでは「旅費の節約に『燃油サーチャージがない航空会社ですよね?』といった、コロナ前よりよく調べている印象を受けた」といった声も聞かれた。