シンデレラ・エクスプレス~愛と別れとともに
青春の日々、さまざまな出会いと別れがあった。学校や仕事の都合で離れ離れになったカップルもいたが、そうした2人の仲を取り持ったのも新幹線だ。バブル期に流行したシンデレラ・エクスプレス。週末の一時を仲良く過ごしたものの、別れの時はやってくる。ホームで1人新幹線に乗り込みプレゼントを抱えた女性は、雪景色の車窓を目にしながら旅路を急ぐ。クリスマス・エクスプレスという言葉が流行したのは1990年頃だった。
そういえば、筆者も名古屋から上京した女性を東京駅の新幹線ホームまで迎えに行ったことがあったなあ。いつの間にか疎遠になってしまったけれど、別れがあれば出会いもあるわけで、そうした過去の古傷があればこそ、今の妻との出会いもあったのだ。
筆者にとっても東海道新幹線とともにあった60年間のさまざまなエピソードが通り過ぎていく。まさに、中島みゆきの歌のように、「別れと出会いをくり返し、時代は回る」のだ。
出張、帰省、そして観光、「そうだ京都、行こう」
社会に出て仕事をすれば出張で新幹線を利用する人も数多い。仕事を終えて、新幹線に乗り込み、夜の東京タワーを眺めながら缶ビール片手にくつろぐ会社員。一方、結婚して子どもができると、幼子を抱いて実家に戻る女性もいる。お盆の時期や年末年始には、幼子で車内はにぎやかになる。働きづめだった人生も定年を迎えると、のんびり旅にでる機会が増える。「そうだ京都、行こう」のキャンペーンは、始まって30年を過ぎている。左端のシニアがそのイメージであろう。私もコロナ禍が始まる直前に「フルムーン夫婦グリーンパス」を利用して、京都、由布院、広島とグリーン車利用で優雅な旅をした。その「フルムーン夫婦グリーンパス」もなくなってしまい、過去の思い出となって久しい。