上司をアテンドする、取引先をアテンドするなど、ビジネスシーンでよく耳にする「アテンド」という言葉。具体的にどんな業務を指すか、皆さんはご存じですか。今回は、「アテンド」の意味や、さまざまな業界での使われ方などを、現役フリーアナウンサーの酒井千佳が解説します。
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<目次>
・ビジネス用語「アテンド」の意味とは?
・【業界別】「アテンド」の使い方
・「アテンド」と混同しやすい類義語
・まとめ
ビジネス用語「アテンド」の意味とは?
アテンドは、英語の「attend」が元になった言葉で、辞書では「(1)人の世話をすること。接待すること。(2)介護をすること」(出典:三省堂『大辞林 4.0』)と説明されています。ビジネスシーンでは、取引先や顧客を接待したり案内したりすることや、上司の業務に随行することなどを意味することが多く、基本的に目上の人に対して使われる言葉です。また、この他にも冠婚葬祭の分野の「ブライダルアテンダント」や、航空業界の「キャビンアテンダント/フライトアテンダント」など、さまざまな業界で使われています。【業界別】「アテンド」の使い方
ここからは、各業界で「アテンド」という言葉を使う場合、どのようなことを意味するのかご紹介します。ホテル業界
ホテル業界で「アテンド」という場合、客に対して行う案内などのサービスを意味します。チェックインの際に口頭で行う案内のほか、お客さまの荷物を運んだり、送迎をしたりといった、客に付き添って行う案内もアテンド業務に含まれます。航空業界
航空業界の「アテンド」といえば、頭に浮かぶのは「キャビンアテンダント(cabin attendant,CA)」ではないでしょうか。動詞の「attend」の名詞形の1つである「attendant」には「接客係」という意味があり、キャビンアテンダントはcabin(客室)の接客係を意味します。接客係というと、機内で飲み物や食事を提供したり、乗客の求めに応じてさまざまなサービスを行う仕事がイメージされますが、実際にはサービスの他に、有事の際に乗客の安全を確保するという保安要員としての重要な役割も担っています。キャビンアテンダントは、「フライトアテンダント」や、日本語では「客室乗務員」とも呼ばれます。ブライダル業界
ブライダル業界には「ブライダルアテンダント」という仕事があります。これはかつては「介添人」とも呼ばれていたもので、式の当日、花嫁の側について移動などをサポートするものです。結婚式では、花嫁は打掛やウエディングドレスなど華やかな衣装に身を包みますが、慣れない着物やドレスで動くのは一苦労です。花嫁がスムーズに、そして美しい姿で晴れの日を過ごせるよう、側で世話をするのがブライダルアテンダントです。観光業界
観光業界では、旅行客と行動を共にし案内することを「アテンド」と言います。ツアーなどに同行して参加者を誘導するだけでなく、スケジュールの管理をしたり、ツアー中の参加者の困りごとやアクシデントに対応することもアテンド業務の一環です。医療業界
医療業界でも「アテンド」や「アテンダント」という言葉が使われる場合があります。ただ、病院や会社によってその意味するところはさまざまです。医療事務や看護助手、介護助手などを指して「アテンダント」と呼ぶ場合もあれば、看護師による付き添いや訪問看護のサービスを指して「アテンダント」と呼ぶ場合もあります。医療機関や医療関係の企業などで「アテンド」や「アテンダント」という言葉が使われていた場合、どのような業務内容を指しているのか確認をする必要があるでしょう。金融業界
金融機関で使われる「アテンド」は、主に窓口での接客対応を意味します。来行した顧客の窓口への案内や、振込・振替の手続き、口座開設などの対応が、金融機関におけるアテンド業務です。イベント業界
イベントや展示会などにおいて接客業務にあたることも「アテンド」と言います。受付や、ブースでの説明など、お客さまへの対応に当たることを広くアテンドと言うほか、ゲストのいるイベントなどでは「ゲストアテンド」という役割もあります。これは、お迎えから、会場内を移動する際の案内、スケジュールや進行の管理など、ゲストに付き従ってさまざまなサポートを行う業務です。「アテンド」と混同しやすい類義語
アテンドと混同しやすい言葉に「エスコート」や「アサイン」があります。ここでは、それぞれの意味の違いを解説します。エスコート
「エスコート(escort)」は、「付き添う、案内する」などの意味のある言葉です。日本語訳だけを見るとアテンドと共通していますが、エスコートの場合は男性が女性に対して行うイメージがあります。アテンドは行為を行う側、受ける側いずれも男女どちらでも使われる言葉ですので、この点に違いがあります。アサイン
「アサイン(assign)」は「(業務などを)割り当てる」という意味の言葉です。「アテンド」は「案内する・接待する」など、取引先やお客さん、上司など目上の人に対して行うものであるのに対して、「アサイン」は上の立場の人が部下などに対して行うものであるところにも違いがあります。同じ「ア」で始まるカタカナ語ですので混同しやすいかもしれませんが、意味は違いますのでご注意ください。
まとめ
「アテンド」は、英語の「attend」に由来する言葉で、目上の立場の人に付き従ってサポートすることを意味します。取引先に対する接待や、出張などへの随行、客の案内など、シーンによって「アテンド」の指す内容は変わります。この機会にさまざまな業界ごとの「アテンド」の意味を確認してみてください。■執筆者プロフィール 酒井 千佳(さかい ちか)
フリーキャスター、気象予報士、保育士。
京都大学 工学部建築学科卒業。北陸放送アナウンサー、テレビ大阪アナウンサーを経て2012年よりフリーキャスターに。NHK『おはよう日本』、フジテレビ『Live news it』、読売テレビ『ミヤネ屋』などで気象キャスターを務めた。現在は株式会社トウキト代表として陶芸の普及に努めているほか、2歳からの空の教室「そらり」を主宰、子どもの防災教育にも携わっている。