降水確率を確認して傘を持って出かけたのに、雨が降らなかった。逆に、降水確率を信じて傘を持たなかったのに、雨に降られてしまった。そんな経験はありませんか?
降水確率の正しい意味を気象予報士の片山美紀が解説します。
(今回の質問)
Q. 降水確率が100%でも雨が絶対に降るわけじゃないのはなぜ?
(回答)
降水確率が100%の場合、かなり高い確率で雨は降ると考えられますが、確かに絶対に雨が降るとは言い切れません。
その理由は、降水確率は10%刻みで表現されるため、95%の場合は100%となるからです。反対に、降水確率が0%でも雨が降ることはあります。
そもそも「降水確率」はどんな情報なのか?
降水確率が40%とは、「降水確率40%」という予報を100回発表した場合、そのうち約40回は1ミリ以上の雨もしくは雪が降るという意味です。
降水確率は0、10、20、30……100のように10%刻みで表現され、この間の数字は四捨五入されます。このため、降水確率が95%の場合は四捨五入で100%になります。
同じ予報を100回出して、そのうち95回は雨が降るなら「ほぼ雨が降る」と言えそうですが、「絶対に雨が降る」とは言い切れませんね。このため降水確率が100%だとしても、雨が降らない可能性もわずかにあるのです。
「降水確率0%」でも雨が降ることはある!?
一方、降水確率0%とは、どんな状況でしょうか。降水確率が5%未満の場合は、四捨五入で降水確率0%になります。また、降水確率は1ミリ以上の雨や雪を対象にしているため、1ミリに満たないようなパラパラとした弱い雨のときは「降水確率0%」としてもよいのです。ですから、たとえ降水確率が0%でも絶対に雨や雪が降らないわけではありません。
「降水確率が高い=大雨」とは限らない?
降水確率が80%の場合と降水確率が30%の場合、降水量はどちらが多いと思いますか?「どちらともいえない」が正解で、降水確率と降水量は、まったく関係がないためです。降水確率が80%で少量の雨が降る場合もあれば、降水確率30%でも雨足が強まり大雨となる場合もあります。さらに、降水確率は雨の降り続く時間も考慮していないことに注意が必要です。
一般的に「ゲリラ雷雨」のような局地的な大雨が予想されるときは、降水確率が低めに出ることが多いですが、雨が降った場合は短い時間でもびしょぬれになってしまったり、道路が冠水したりするほどの大雨になるかもしれません。
降水確率の意味を正しく知って、これから迎える梅雨に活用してください。
<参考>
・「予報の名称 予報の名称に関する用語」(気象庁)
・「よくある質問集 天気予報・天気図について」(気象庁)
この記事の執筆者:片山 美紀
1991年生まれの気象予報士。現在は『首都圏ネットワーク』(NHK総合)などで気象解説を担当。防災情報を正しく活用してもらうための普及啓発として講演活動にも取り組む。
1991年生まれの気象予報士。現在は『首都圏ネットワーク』(NHK総合)などで気象解説を担当。防災情報を正しく活用してもらうための普及啓発として講演活動にも取り組む。