ヨーロッパの国際列車からわが国の豪華列車まで……さまざまな列車の個室
ところで、列車の個室といえば、ヨーロッパの鉄道が本場だ。国際列車などに数多くの個室(コンパートメント)が設置されてきた。近年は少しずつ数を減らしているものの、伝統的な客室である。ただし、寝台車を除けば、1等車といえども6人向かい合わせのものが一般的だった。 日本国内では、寝台車以外、個室は珍しい存在だった。夜行列車がほぼなくなった現在、「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」のシングルDXが、グリーン車に相当するA寝台としてかろうじて残っているにすぎない。 一方、観光列車では、いくつもの個室が設置されている。近鉄の豪華観光特急「しまかぜ」、東武の新しい観光特急「スペーシアX」の個室は、3人以上での利用が原則だ。 JR九州の観光列車(D&S列車)の1つ「36ぷらす3」の個室は水戸岡鋭治氏のデザインらしく異彩を放っている。そして、さすが豪華列車の個室は立派そのもので、例えば「トワイライトエクスプレス瑞風」(JR西日本)のロイヤルツインなどは鉄道車両とは思えないグレードの高さだ。2026年度中に運行が予定されている東海道新幹線の個室がどんなものとなるのか、今から楽しみである。
取材協力=JR東海
この記事の筆者:野田隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。