家のネット回線が遅いです。中継機かメッシュWi-Fiの導入を検討しているのですが、どちらがいいですか?

中継機とメッシュWi-Fiの違い、メッシュWi-Fiを導入するメリットについて、LAN/無線LANの専門家で「All About」ガイドの岡田庄司が解説します。

家のネットが遅いとき、中継機とメッシュWi-Fiはどっちが良い?
家のネット回線が遅いとき、中継機とメッシュWi-Fiはどちらが良い?
家のネット回線が遅いと、中継機やメッシュWi-Fiの導入を検討する人もいるのではないでしょうか。

そんなメッシュWi-Fiについて、LAN/無線LANの専門家で「All About」ガイドの岡田庄司が解説します。
 

(今回の質問)
家のネット回線が遅いとき、中継機とメッシュWi-Fiはどちらが良い?

(回答)
予算が許すなら、断然メッシュWi-Fiをおすすめします。

どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

中継とメッシュWi-Fiの違い

「中継機」とは、電波を中継して電波の届きにくいところへ電波を送る器機です。それに対して、「メッシュWi-Fi」は、電波を網の目のように配信する機器です。中継機が一方向だけに電波を送るのに対し、メッシュWi-Fiは、多方向に電波を送り、結果的に電波の網を構築します。
中継機とメッシュWi-Fiの違い
中継機とメッシュWi-Fiの違い(画像:編集部作成)
【こちらも読む→「メッシュWi-Fi」とは?

メッシュWi-Fiのメリット

メッシュWi-Fiのメリットとして、以下の点が挙げられます。

・どこでも安定して電波を受信できる
中継機は、電波を一方向に送信するので、中継すればするほど電波が弱くなってしまいます。その点メッシュWi-Fiは、互いに“補完”し合いながら電波の網を構築するので、どこでも安定して電波を受信できます。

メッシュWi-Fiの補完とは、例えばA機からC機に電波を送信するとき、Aから直接C機に送るのではなく、B機を経由して電波を送る方が効率が良い場合、自動的に送信先を変更します。ユーザーによる指定は必要ありません。

また、専門用語にはなりますが、メッシュWi-Fiは、スループット(ネットワーク機器が一定の時間当たりに処理できるデータの量)や信号強度、利用可能な帯域幅(利用する電波の幅)などの情報を総合的に判断し、適切な通信経路を構築します。

・機器が高性能で互換性がある
メッシュWi-Fiは、1台のコントローラとそのほかのエージェントで構成されます。

このとき、コントローラもエージェントも通常の無線LANルーターなので、利用しているCPUや無線LANのチップ類も高性能のものとなっています。
1台のコントローラと複数のエージェント。異なる会社でも原則的には混在可。
1台のコントローラと複数のエージェント。異なる会社でも原則的には混在可
また、業界団体のWi-Fi Allianceが、相互接続可能なメッシュWi-Fiの標準規格Wi-Fi EasyMesh(TM)を発表したことにより、異なるメーカー間の無線LANルーターでメッシュWi-Fiを構築することも原則的には可能となっています。そのため、将来的に無線LANルーターを別の会社の機器に買い替えても、今まで使っていた無線LANルーターをエージェントとして再活用することができます。

ただ、無線LANルーターを購入するときは、念のため各メーカー間の対応情報を確認してください。

有線接続のメッシュWi-Fiを構築できる

実は、筆者はメッシュWi-Fiを有線で構築しています。筆者の自宅は、1階の書斎にONUと無線LANルーターが設置してあり、2階の床全面に床暖房のパネルが敷き詰められています。そのため、通常では2階でWi-Fiを利用することができません。階段に中継機を設置したこともありますが、一応つながるものの数10Mbps程度しか速度が出ず実用的ではありませんでした。

ところが、1階の書斎から2階の廊下にLANケーブルが通っているので、1階の書斎にコントローラを置き、そこから有線で2階のエージェントに接続するだけで、家中のWi-Fi網を簡単に構築することができています。

以下は、1階の速度と2階の速度ですが、ほとんど同等の速度が出ています。これなら、快適なWi-Fi環境といえます。
1階で測定した速度
1階で測定した速度
2階で測定した速度
2階で測定した速度
筆者の場合は、床暖房のパネルでしたが、部屋と部屋の間にコンクリートの壁や金属製の障害物がある場合でも同じです。それらを有線で回避して、Wi-Fi網を構築できるのはメッシュWi-Fiの大きな利点だといえるでしょう。

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この記事の筆者:岡田 庄司
ライター歴は20年以上。パソコン通信時代からネットワークに興味を持ち、LANや無線LANが一般に普及する前からLANの話題を追いかけ続けている。著作はすでに40冊を超え、テクニカルライターとしても活動している。
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