家のWi-Fiの調子が悪いけど無線LANの場所は変えられない……どうすれば?【専門家が解説】

マンションなどで無線LANルータの置き場所が固定されていて、かつ電波状況が悪い場合には、どう改善すれば良いのでしょうか。LAN/無線LANの専門家で「All About」ガイドの岡田庄司が解説します。

家のWi-Fiの調子が悪いけど無線LANの場所は変えられない……どうすれば?
家のWi-Fiの調子が悪いけど無線LANの場所は変えられない……どうすれば?(記事に出てくるAさん宅の無線LANルータ)
無線LANルータは自宅の中央に置くのが理想ですが、家の構造によっては置き場所が固定されています。もしWi-Fiがつながりにくいなど通信環境を改善したい場合には、どうすれば良いのでしょうか。LAN/無線LANの専門家で「All About」ガイドの岡田庄司が解説します。
 

(今回の質問)
無線LANルータの置き場が決まっていて、電波状況を改善したくても動かすことができません。どうすれば?

 

(回答)
メッシュWi-Fiを利用しましょう。できれば、親機(コントローラー)と最初の子機(エージェント)は有線で接続したいところです。


以下で詳しく解説します。
 

無線LANルータを動かせない場合の対応策

自宅でインターネット(Wi-Fi)を快適に使うためには、無線LANの置き場所が重要です。基本的にはWi-Fiを利用する端末の近くに置くことをおすすめしますが、複数人が住む家の場合には、障害物が少ない家の中央が良いでしょう。

参考:無線LANルータは、家のどこに置くのがおすすめ?【専門家が解説】

しかし家の構造によっては、無線LANルータを動かせないことがあります。このようなときは、メッシュWi-Fi(※)対応無線LANルータの増設をおすすめします。※数台のアクセスポイントを組み合わせて快適に通信ができるようにする機器

メッシュWi-Fiを利用するには、既存の無線LANルータがメッシュWi-Fiに対応している必要があります。対応していない場合でも、最近の機種であれば、ファームウエアのバーションアップで対応できる場合もあります。また、この際思い切って無線LANルータを対応機種に買い替えるのも良いと思います。

Buffalo社の「WNR-5400XE6/2S」(メッシュWi-Fi 2台セット)
Buffalo(バッファロー)の「WNR-5400XE6/2S」(メッシュWi-Fi 2台セット)

メッシュWi-Fiの詳細については筆者の記事を参照して頂くことにして、ここでは実際の例を基に改善策を紹介しましょう。
 

3LDKのマンションで玄関に無線LANルータを置いている人の場合

知人Aさんから「間取り3LDKのマンションで、玄関に無線LANルータがあり、そこから基本的に動かすことができません。今は中継器を使っていますが、それでも奥の部屋などはWi-Fiが切れることがあります。どうすればいいでしょうか?」という問い合わせがありました。

マンションは共用部分の都合上、玄関先にインターネットの引き込み口があり、そこにONU(光回線終端装置)またはモデム(電話回線/CATV)と無線LANルータが設置されている場合が多くなっています。

ONUやモデムに無線LANルータの機能が付いている場合は、移動ができません。別々になっている場合でも、設置場所が固定されているケースも多いかと思います。

このような場合は、メッシュWi-Fi対応の無線LANルータを購入して、ペアとなる1台のメッシュWi-Fi対応の無線LANルータを玄関から繋がっている廊下の奥などに設置してください(できれば自宅の中央)。

次に、玄関先の無線LANルータと接続しますが、できれば有線で接続するのが理想です。有線で接続すれば、廊下の先でも玄関先の無線LANルータが設置してある場所とほぼ同じ速度が出ます。

多くのマンションは、玄関から廊下がつながっていますので、廊下の奥までLANケーブルを敷設することは難しくないでしょう。賃貸でも多少見栄えが悪くなりますが、ホームセンターや100均でケーブル固定用のコードステッカーを購入すれば傷を付けずに敷設できます。

コードステッカーの例。安価に購入できる
コードステッカーの例。安価に購入できる

 

中継機ではダメ?

中継器を利用する方法もありますが、中継器の最大の難点は、上に挙げた有線接続が無線に限られることです。

またメッシュWi-Fiの有線接続を無線で接続するにしても、中継器を利用するより、速度が出る場合が多いでしょう。さらに、メッシュWi-Fiは増設が可能ですので、もう1台メッシュWi-Fiを部屋のどこかに追加すればさらに快適な環境でインターネットを利用できます。この増設するメッシュWi-Fiは、無線で接続できますのでLANケーブルを引き回す必要はありません。

Aさんと同じような状況で困っている人は、ぜひ試してみてください。

この記事の筆者:岡田 庄司

ライター歴は20年以上。パソコン通信時代からネットワークに興味を持ち、LANや無線LANが一般に普及する前からLANの話題を追いかけ続けている。著作はすでに40冊を超え、テクニカルライターとしても活動している。
 
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