テレビドラマの最初や最後に出てくるスタッフロール。主演俳優に続き、共演者の名前が次々と出てきますが、たまに目にするのが「特別出演」や「友情出演」という表記。これって何なのか、ご存じですか?
「友情出演」「特別出演」の意味、それぞれの違いについて、テレビ局関連会社の宣伝部に在籍していた筆者が解説します。
そもそも、スタッフロールとは?
まずスタッフロールとは
・出演者
・制作スタッフ
・主題歌
・番組提供会社
など、作品に関わった人物や会社名を表記するものです。
出演者はもちろんのこと、プロデューサー、脚本、ディレクター、カメラマンや編集などの技術スタッフ、セットや小道具を作る美術スタッフ、それらのアシスタントスタッフ、宣伝スタッフなど、番組制作に携わるたくさんのスタッフ名が表記されます。
スタッフロールにおける出演者の順番は、ドラマプロデューサーと出演者の事務所などの話し合いによって決まります。基本的に、最初は主演の俳優。その後は出番の多い役を演じる俳優や、物語のキーとなる役を演じる俳優などの順に表示されます。
そしてロールの最後に出る俳優は「留め」といって、主演クラスの大物俳優が表記されます。連続ドラマの場合、留めはレギュラーで出演する俳優になるため、その前に「特別出演」や「友情出演」が入ります。俳優が演じる役の大きさに加え、「俳優の格」も加味され、決定されていくのです。
出演時間が短くても存在感抜群の「特別出演」
「特別出演」とは、普段なら主演を演じる大物俳優が、出演時間が少なく物語においてもそこまで役割が大きくない役を演じる際に使われます。
例えば、3月30日にテレビ朝日系で放送されたドラマ『黄金の刻~服部金太郎物語~』でも、船越英一郎さんが「特別出演」しています。主人公が青年期に働いていた店の主人役として登場し、出演時間は短かったものの、大御所ならではの風格で存在感を放っていました。
普段なら主演を演じる大物クラスの俳優があえて脇を固めることで、ドラマ全体にどっしりとした重厚感を与え、豪華な印象となるのです。
「特別出演」と「友情出演」の違いは?
「特別出演」と違い、「友情出演」の場合には、「このドラマ以外にもつながりがあるよ」という意味が含まれます。例えば、番組プロデューサーがキャスティングを決める際に「以前、ほかのドラマに出てもらった時に良かったので、また出演してもらいたい」とオファーした場合などです。また、事務所のつながりがあり、短いシーンだけ登場する「カメオ出演」をしてもらう場合なども含まれます。
1月、4月、7月、10月と、1年に4クール放送されるテレビの連続ドラマは、10人ほどのドラマプロデューサーが常に企画を練っており、そのプロデューサーの下に集結した100人近いスタッフたちがチームとなって、制作に取り組んでいます。テロップに出るスタッフや出演者たちは3カ月間、毎日長時間にわたって顔を合わせ、試行錯誤で撮影に取り組むため、信頼関係も築かれ、また同じチームで組むことも多くなるのです。
そこでつながった出演者が再度出演することで、ある意味同じ波を乗り越えた“同士”のような雰囲気で撮影現場も盛り上がり、さらなるヒット作を生み出していくのかもしれませんね!
テレビ局関連会社の宣伝部でドラマの公式Webサイトなどの制作に携わる。その後、編集プロダクションやエンターテインメント専門誌の編集を担当。現在はライターとして、長年のマスコミ業界での経験を生かしたコラムの執筆をはじめ、取材やインタビュー活動も行う。