ニアリーイコール(≒)の意味とは? ビジネスでの使い方や例文を解説

数学や統計学でよく見るニアリーイコールという表現。実はビジネス会話の中でも頻出するため、使い方をマスターしておきたいものです。今回は、ニアリーイコールの意味や正しい使い方、言い換え表現について現役フリーアナウンサーの新保友映が解説します。

ニアリーイコール(≒)の意味とは? ビジネスでの使い方や例文を解説
ニアリーイコール(≒)の意味とは? ビジネスでの使い方や例文を解説

「ほとんど等しい」といった意味合いを持つことば「ニアリーイコール」。一般的に数学や統計学などの分野で特殊記号として表されますが、ビジネスシーンでは普通の会話の中で使われることも珍しくありません。そのため、社会人として「ニアリーイコール」の使い方をマスターしておきたいものです。

そこで今回は、ニアリーイコールのことばの意味や使い方、言い換え表現などについて現役フリーアナウンサーの新保友映が解説します。

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<目次>
「ニアリーイコール」の由来と意味
ビジネス用語「ニアリーイコール」の使い方
ニアリーイコールの類語・言い換え表現
まとめ

「ニアリーイコール」の由来と意味

ビジネスシーンにおける「ニアリーイコール」の使い方を考える前に、まずは本来のことばの由来と意味を知っておきましょう。

・数学記号「ニアリーイコール(≒)」の由来
ニアリーイコールは数学記号で「≒」と表現され、「ほとんど等しい」「おおよそ等しい」といった意味合いで使われています。つまり「A≒B」は「AとBはほとんど同じ」という意味になります。数学では「必ずしも真の値ではないものの、誤差がほとんどなく真の値に限りなく近い値」のことを「近似値」と呼び、「真の値」と「近似値」を異なる存在として扱います。その近似値を用いるものの中で、最も広く知られているのが円周率です。円周率は「3.141592……」と続きますが、割り切ることができないため「π(パイ)≒3.14」と表現することで計算しやすくしているのです。

ちなみに、「≒」の記号は日本のほかでは韓国や台湾など、一部の近隣国でしか使われておらず、世界的に見るとほとんどの国が「≈」「≃」「≅」のいずれかの記号を採用しています。

・「ニアリーイコール」の意味
前述の通り、ニアリーイコールは「ほとんど等しい」といった意味で使われています。英語表記にすると「ほぼ」という意味を持つ「nearly」と、「等しい、同じ」という意味の「equal」を組み合わせた表現となります。直訳すればそのままの意味になるため、ニアリーイコールという表現を普段使わない人であっても、ニュアンスで理解できるでしょう。

・ニアリーイコールの英語表記は「nearly equal」が正しい?
ニアリーイコールは、確かに英語で「nearly equal」と表記します。しかしこれは和製英語であり、正しい英語表現ではないため注意が必要です。

英語圏では、「nearly equal」の代わりに「approximately equal」や「almost the same」と表現するのが一般的です。「approximately」は、和訳すると「〜前後、大体、およそ」となり、意味としてはnearlyと非常によく似ています。しかし、そもそも英語圏では数学分野以外でequalを使うことが少ないため、日本語のビジネスシーンと同じ意味合いで使うのであれば「almost the same」が適していると覚えておきましょう。

ビジネス用語「ニアリーイコール」の使い方

ビジネスシーンでは、アイデアや製品、性能などあらゆるものを比較する際に「ニアリーイコール」という表現を使うことができます。実際どのように使われているのか、例文を見てみましょう。

・A社とB社の製品を比較したが、機能はニアリーイコールだった。
・君たちのアイデアは異なるように聞こえるが、結局はニアリーイコールだ。
・見た目はニアリーイコールですが、価格と機能に差があります。
・競合とニアリーイコールの製品では、これからの市場を生き残ることができない。
・従来のデザインとニアリーイコールではなく、もっと斬新さがほしい。

このように、まったく同じとは言えないものの、最終的に「どちらを選んでもあまり変わらない」というニュアンスで使われます。ビジネスシーンにおいては、仕事の話だけでなく、普段の会話として使われることもあるため、覚えておくと役立つ表現といえるでしょう。

ニアリーイコールの類語・言い換え表現

ニアリーイコールには、言い回しの似た表現がいくつもあります。ただし、どれも少しずつニュアンスが違ってくるため、その違いを正しく理解した上で使うことが大切です。

・似たり寄ったり
互いによく似ていて、優劣や差異がほとんどないことを「似たり寄ったり」といいます。ほんの小さな違いはあったとしても、実質的には同じというニュアンスで、どちらを選んでも大きな差はないというときに使います。基本的に、比較対象となるものが同じような状態やレベルにあることが前提です。

【ビジネスシーンでの使用例】
・どちらも実績は似たり寄ったりだ。
・あの2人は競い合っているが、結局は似たり寄ったりだ。

・紙一重
「紙一重」とは、2つのものを比較したときに「簡単に破れそうな薄い紙切れ1枚程度の差しかない」ということの例えで、双方にほんのわずかな違いしかないことを意味します。ほとんど同じと言いたいところですが、スポーツ記録などではその差が大きな違いとなります。また、「一瞬の差」といった意味合いで使われることもあります。例えば、事故に遭いかけたとき「紙一重で避けられた」などと表現します。数量や程度の差だけではなく、物理的な距離が極めて近いという意味でも使われることを知っておきましょう。

【ビジネスシーンでの使用例】
・今回のコンペは難航したが、紙一重でAチームが勝利した。
・私と彼の能力の差は紙一重のはずだ。

・どんぐりの背比べ
「どんぐりの背比べ」とは、対象が複数あっても似た者ばかりで抜きん出る存在がいない状態を表すときに使う表現です。どんぐりはどれも形や大きさがほぼ同じで、背比べをしても優劣がつかないことからそう言われるようになりました。ビジネスシーンでも使われる表現ですが、本来いい意味で使われる言い回しではないため注意が必要です。「どんぐりの背比べ」は、平均かそれ以下の対象が集まったときに使う比喩であり、優れたものを比較する表現ではないことを覚えておきましょう。

【ビジネスシーンでの使用例】
・あの程度の営業成績で喜んでいてもどんぐりの背比べだ。
・これではどんぐりの背比べだ、どのプレゼンも結局何が言いたいのか分からない。

まとめ

ニアリーイコールの意味や使い方、似ている言い回しについて解説しました。ニアリーイコール(≒)は、もともと数学や統計学の分野で使われている表現で「ほとんど同じ」という意味があります。

しかし、海外では「nearly equal」ではなく「approximately equal(≈)」で表示されるのが一般的であるため、ビジネスシーンでは特に注意が必要です。また、日本語の表現として「似たり寄ったり」や「紙一重」など似た言い回しがありますが、それぞれ少しずつニュアンスが異なるため、うまく使い分けるといいでしょう。

■執筆者プロフィール
新保友映
新保 友映(しんぼ ともえ)
山口県岩国市出身。青山学院大学卒業後、2003年にアナウンサーとしてニッポン放送に入社。『オールナイトニッポンGOLD』のパーソナリティをはじめ、『ニッポン放送ショウアップナイター』やニュース情報番組、音楽番組など担当。2018年ニッポン放送退社後はフリーアナウンサーとして、ラジオにとどまらず、各種司会、トークショーMC、YouTube、Podcast、話し方講師など幅広く活動。科学でいじめのない世界をつくる「BE A HEROプロジェクト」特任研究員として、子どもたちの授業や大人向け講座の講師も担当している。
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