「エクスキューズ」という言葉にはどのような意味があるのでしょうか。この記事では、ビジネスコミュニケーションにおいて欠かせない「エクスキューズ」の正しい理解と効果的な使用法を紹介します。弁明や言い訳、免除という意味で使用されるこの言葉の適切な使い方から、使う際の注意点まで、具体的な例文とともに、現役フリーアナウンサーの阿部佳乃が解説します。正しい使い方をマスターして、より信頼されるコミュニケーションを目指しましょう。
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<目次>
・エクスキューズの意味とは?
・ビジネスにおけるエクスキューズの使い方
・エクスキューズを使う際の注意点
・エクスキューズの例文
・エクスキューズの類語・言い換え表現
・まとめ
エクスキューズの意味とは?
「エクスキューズ」とは、主に「弁明」「言い訳」「免除」などの意味を持つ言葉で、英語の「excuse」が由来です。ビジネスシーンでは、主に「弁明」「言い訳」の意味で使われます。また、「免除」の意味で使われる場面もあるため、使うときは意味に十分注意しましょう。日本語における「エクスキューズ」と英語の「excuse me」は、使われる文脈が異なります。「エクスキューズ」は、自分の状況や行動に対して相手に理解や許しを求めるために使われます。一方、英語の「excuse me」は、日本語で謝罪や許可を得るときに「すみません」という意味で使われることが多いです。
ビジネスにおけるエクスキューズの使い方
ビジネスの現場において、エクスキューズを使う場合は、その状況や相手の受け取り方に十分注意を払う必要があります。例えば、ミスや遅刻をした場合、責任を回避するためではなく、事実を正直に伝えるという意味で使うべきです。ただし、使いすぎると責任感がないと見なされかねないため、適切なバランスを保つことが重要です。また、ビジネスの現場ではこの言葉を使用した後に、問題解決のための具体的な提案や改善策を提示することが望ましいでしょう。エクスキューズを使う際の注意点
ビジネスコミュニケーションにおいて、この言葉を使う際には細心の注意が必要です。適切に用いれば関係を円滑に保つことができますが、不適切な使い方は誤解や信頼の失墜を招く可能性があります。・エクスキューズを多用しない
「エクスキューズ」は、根本的な問題の解決にはなりません。そのため、この言葉を使いすぎることは、問題から目を背けているように見え、責任感の欠如を印象づける恐れがあります。この言葉を使う際には、その後の解決策や改善計画も併せて提示することが望ましいです。これにより、真摯(しんし)に対応していると相手に認識してもらえます。
・言い訳に対して注意する側が使用する
「エクスキューズ」は、弁明をする立場ではなく、注意や指摘をする立場が使う言葉として最適です。例えば、相手の行動を諭す際や、適切ではない行動を指摘する際に「エクスキューズが多い」と表現することで、相手に自覚を促すことができます。しかし、この用途で使用する際も、相手を尊重し、建設的なフィードバックを心がけることが重要です。
エクスキューズの例文
「エクスキューズ」は、ビジネスの現場でよく耳にする用語ですが、使用方法を間違えると誤解を招く可能性があります。ここでは、ビジネスコミュニケーションにおける「エクスキューズ」の使い方を、具体的な例文とともに見ていきましょう。・「言い訳」という意味での使い方
「言い訳」として使用されることもあります。しかし、この使用方法は相手にネガティブな印象を与えかねません。
【例文】
「さっきからエクスキューズが多いね。事実と向き合いましょう」
「先方の説明は、単なるエクスキューズにしか聞こえなかった」
・「弁明」「弁解」という意味での使い方
自身の行動や決定を正当化する際にも使われます。この文脈では、よりポジティブな印象を与えることができるでしょう。
【例文】
「この件について、担当者としてエクスキューズはありますか」
「皆さん、彼にはエクスキューズの機会を与えるべきです。事情を聞いてみましょう」
・「免除」という意味での使い方
責任や義務から免れることを意味する場合にも使われます。しかし、この使い方はあまり一般的ではありません。
【例文】
・「本来なら罰則を与えるところですが、今回は特別にエクスキューズします」
・「この工程はエクスキューズしても問題ない、他に集中すべき課題があります」
エクスキューズの類語・言い換え表現
エクスキューズには類語や言い換え表現があります。ここでは、8つの類語や言い換え表現を見ていきましょう。・弁解
「弁解」とは、自己の行動や決定を正当化する説明を意味する言葉です。主にフォーマルな文脈で用いられ、疑問や批判に対応する際に役立ちます。きちんと丁寧に、適切に弁解することで、個人の誠実さや責任感を示す機会となるでしょう。
例えば「この遅刻に関する私の弁解を聞いてください」という表現は、誤解を解き、自分の行為を理解してもらう目的が大きくなります。客観的事実に基づいて、冷静な説明をすることが重要です。正確な情報提供により誤解が解消され、信頼回復につながることもあります。
・弁明
「弁明」とは、自分の行動や思考を他人に理解してもらうために、誤解された状況について正確な情報と説明をすることを意味します。具体的には、自分の行為や決定が誤解を招いた際に、その背景や理由を明確にし、事実に基づいた説明を行うことで、誤解を解消し相手の理解を求めるプロセスです。
例えば、不適切な行動や意見があった場合「その事態に至った経緯を弁明させてください」と述べることで、自分の意図や状況を明らかにし、相手に正確な状況を理解してもらうために用います。このように、弁明はコミュニケーションを円滑にするために重要な役割を果たします。
・口実
「口実」とは、自分の行動を正当化するために使われる言い訳や言い逃れを指す意味の言葉です。多くの場合、この言葉は「負の意味合い」を持ち、真の理由や動機を隠す際に使用されます。
例えば、遅刻を繰り返す人が毎回異なる理由を挙げるのは、実際は時間管理の問題かもしれません。口実は短期的に問題を回避できる方法かもしれませんが、長期的には信頼を損ない、真実と誠実な対話を避けることになってしまうでしょう。自己反省を通じて真の原因を理解し、誠実に対処することで、信頼と尊敬を築くことができます。
・釈明
「釈明」とは、誤解された点を明確にし、真実を伝えるための具体的な説明行為を意味します。主に、不当な非難や誤解、批判に直面した際に用いられ、自身の行動や発言が正しいことを証明し、他人に正確な情報を提供する目的がある言葉です。
例えば、誤解を招いた発言について「私の発言の真意を釈明させてください」と述べることで、本来の意図や事実関係を明らかにし、誤解を解消する試みがなされます。釈明は、単なる言い訳とは異なり、誤解を生じさせた事柄について、論理的かつ明瞭に説明を加えるプロセスです。
・自己正当化
「自己正当化」とは、個人が自身の行動や考えを正しいと主張する心理的な態度です。このプロセスは特に、自己の行為が社会的期待と一致しない時や批判を受けた際に見られます。人は自尊心を保つために自己正当化を用いることもありますが、これは現実の事実をゆがめ、対人関係における信頼を損なう可能性があります。過度な自己正当化は、自己認識のゆがみや関係の問題を引き起こし得るため、自己反省と他者からのフィードバックを受け入れることが、成長と良好な人間関係の構築には重要です。
・免除
「免除」とは、義務や責任から解放される状態を意味する言葉です。法的、道徳的、職務上の負担からの解放を指し、通常、特定の条件下でのみ付与されます。特定の事情を考慮して免除が与えられることもあり、これは個人や団体にとって大きな恩恵となることが多いです。
例えば、「今回の罰金は、特別に免除します」という使用法が一般的です。免除は一時的または恒久的なものであり、書面での正式な決定によって行われます。免除を適用する際は、関連する法律や規則を理解し、正確な手続きを踏む必要があります。
・言い訳
「言い訳」とは、自分のミスや行動を正当化するための弁解を指し、しばしば否定的な状況を緩和する目的で用いられます。これは遅刻や約束違反など、個人の責任を回避しようとする際に見られます。
しかし、言い訳は常にネガティブな意味を持つわけではなく、誤解を解消する有効手段となることもあるので理解しておきましょう。ただし、誠実さと反省をもって問題に対処する態度が重要です。適切な状況認識と責任の受け入れ、解決策の提案は、プロフェッショナルな環境で信頼を築く上で不可欠です。
・前置き
「前置き」とは、話の導入部として、話の聞き手側を本題への心理的準備に導くために重要な役割を担っています。特にエクスキューズを伝える際には、「少々前置きが長くなりますが」と前置きすることで、聞き手に対して背景を理解してもらいやすくします。
しかし、ビジネスコミュニケーションでは、過度な前置きはなかなか話の本題に入りづらく、話の趣旨がズレてしまいがちになります。適切な長さで聞き手側の興味を引きつつ、しばらくしたら、直接的な本題へスムーズに移行することが、効果的な前置きの「鍵」となるでしょう。
まとめ
「エクスキューズ」という言葉はビジネスコミュニケーションで頻繁に用いられ、主に「言い訳」「弁明」「免除」という意味を持つ用語です。適切な使用は円滑な関係構築に寄与するが、過度な使用や不適切な文脈での使用は、間違った理解や不信感を招きます。ビジネスの現場では、この言葉を使用した後の解決策の提案が重要であり、類語や言い換え表現を使うことで、より正確なコミュニケーションが可能です。この言葉をしっかり理解した上で適切に活用して、プロフェッショナルなビジネスパーソンを目指しましょう。■執筆者プロフィール 阿部 佳乃(あべ よしの)
アナウンサー×日本語教師/元TBSテレビ『あさチャン!』報道リポーター。大学卒業後、佐渡ケーブルテレビを経て、UX新潟テレビ21/NHK水戸放送局キャスター/とちぎテレビアナウンサー。現在は、アナウンス講師、ナレーター、イベント司会等、フリーランスで活動しながら、大学や日本語学校で留学生に「日本語」を教えている。趣味は、旅行(47都道府県制覇)と声楽、読書。