先日、筆者の知人・村田さん(30歳/男性)からこんなメッセージが届いた。
20代前半の頃の村田さんは、複数の女性と“友達以上恋人未満”の関係を持つなどの経験がある、生粋の“モテ男”でもあった。
彼が「怖くて恋愛できない」というメッセージとともに送ってきたのは、兵庫県警西宮署が住所不詳無職の37歳男性を不同意性交の疑いで逮捕したというニュースだ。
ニュースによると、男性はSNSで知り合った30代の女性に対し、ホテルで同意なく性行為をした疑いがあるといい、男性は調べに対し「同意はあった」と話しているという。男性と女性は2人で遊びに出かける予定でホテルを訪れていたのだそうだ。
恋愛における“暗黙の了解”。後から「同意じゃなかった」と言われたら……?
このニュースを見て、過去の自身の経験を思い出した村田さんはヒヤリとした。彼は過去に“暗黙の了解”で女性とホテルで一夜を過ごした経験があるからだ。「お酒で盛り上がって、流れでラブホテルに一緒に入って、“暗黙の了解”でそういう関係になった人が過去にいた。歴代の彼女も今の奥さんも、体の関係からはじまって、付き合ったり、結婚したりしている。でももし、あのとき関係を持った女性の中で『あれは同意じゃなかった』と言う人が現れたら……」
もちろん村田さんは、女性を強引にホテルに連れ込むようなことはしてないというが、言葉で同意を取っているわけではない。彼の中にはホテルに行く=同意、という認識があったという。村田さんは「性的同意がある・なしの基準は難しい」と話す。
「不同意性交罪」が成立するも、SNSでは日々「性的同意」に関する議論が勃発
前述のニュースに関して、SNS上では議論が勃発。村田さん同様「同意あり・なしの判断が難しい」と混乱する声や意見が多く見られた。一方で「ホテルに入る=同意ではない、ということをちゃんと認識すべき」といった声や、「無理やり連れ込まれた可能性?」「言った言わないではなく、同意書を交わすべき」などの意見もある。
2023年7月、性犯罪に関する刑法の改正案が成立し、「強制性交罪」の罪名が「不同意性交罪」に変わり、同意のない性的行為は犯罪と明文化された改正刑法が施行した。処罰に必要な要件として、「経済的・社会的地位の利用」「恐怖・驚がくさせる」などの8つの行為が具体的に示されている。
言うまでもなく、立場やお酒を利用したり、恐怖心を抱かせたりして、性的行為をするようなことはあってはならない。改正刑法で具体的な要件が示されたことで、被害を訴えやすくなる人が増え、適切な処罰がなされることが期待される一方、自分は「同意」だと思っていたが、相手は「同意していなかった」という男女の誤解が生じる事例も多々ありそうだ。