お年寄りの感覚や気候変動を体感! リニューアルした日本科学未来館の「思いやりを育てる」仕掛け
東京・お台場にある日本科学未来館の常設展示がリニューアル! 新登場した4つの常設展示を中心に、今大変な盛り上がりを見せていると聞きつけ、わが家の小学2年生の息子、幼稚園年少の娘を連れて行ってきました。果たして、その反応は……?
東京・お台場にある国立の科学館、日本科学未来館(以下、未来館)。年間を通じてさまざまな特別展が行われていますが、2023年11月に常設展示がリニューアル。新登場した4つの常設展示を中心に、今大変な盛り上がりを見せていると聞き、小学2年生の息子、幼稚園年少の娘を連れて行ってきました。
インバウンドにも大人気! 平日でも大にぎわい
「最新の科学技術の知識を得るだけでなく、あらゆる人々がともにより良い未来をつくるためのプラットフォーム」と未来館館長・浅川智恵子さんが掲げるこの科学館は、宇宙や環境、災害、コンピューター、人体など、さまざまな展示を通して幅広い科学技術を体験し、未来について思いをはせる場として2001年に開館しました。
今回お目見えしたのは、「ロボット」「地球環境」「老い」がテーマの4つの展示。筆者は平日の午後に訪れましたが、親子連れはもちろん、大人だけのグループ、そしてインバウンドで東京を楽しむ海外からの人が目立っていて、新展示を中心に平日とは思えぬにぎやかさでした。
楽しくないわけがない! 新登場した4つの常設展示
さて、新登場した常設展示は以下の4つです。
1.ハロー! ロボット
設置エリア:3階 常設展示ゾーン「未来をつくる」
ロボット研究の最先端はもちろん、「aibo」のようなおなじみのロボットから、動物を飼うことが難しい場所や人のためのセラピーロボット「パロ」、心地良い肌触りや10億通り以上もある目や声の表情の組み合わせで、愛着が深まるよう開発された「LOVOT(らぼっと)」など、暮らしの中に今後ロボットがどのように存在していくのか、リアルに感じられる楽しい展示です。
実際にロボットたちとふれあうこともできます。
中でも人気だったのは未来館オリジナルのパートナーロボット「ケパラン」。「みんなで育てる」をコンセプトに開発されていて、うちわやぬいぐるみなどのアイテムを見せると、喜んだり嫌がったりします。かわいらしく目立っていたこともあり、年少の娘は入館と同時にロックオン!
最初うまくアイテムを見せられず、互いに動きも小さめでしたが、4歳なりに工夫をしてそのうち息の合った動きをみせるように。「かわいい!」だけじゃない仲間意識も生まれたようで、その後ほかのロボットにも積極的に関わっていました。
2.ナナイロクエスト -ロボットと生きる未来のものがたり
設置エリア:3階 常設展示ゾーン「未来をつくる」
3つのストーリーの中から1つを選び、専用タブレットを使って、人とロボットが暮らす未来のまち・ナナイロシティのトラブルを解決。実際に歩きながら、展示空間を探索するゲーム感覚の展示です。
小学生の息子は、アスカという子どものキャラクターと一緒にロボットと暮らしている人々に聞き込みをしていく「シナリオA:ともだちロボットツアー」をチョイス。
便利な道具として存在するのではなく、人間と共存するロボットの様子を見て、「未来はお掃除ロボットみたいのだけじゃないね。ロボットの友達もできそう」と、自分と気の合うロボットが出現してくれることを期待していました。
3.プラネタリー・クライシス -これからもこの地球でくらすために
設置エリア:5階 常設展示ゾーン「世界をさぐる」
気候変動の危機に直面している地域の人々のくらしに触れ、地球環境の今を理解していくゾーンです。人気は没入感のある大型映像シアター。海面上昇などの気候変動の影響を受け危機が迫るフィジー共和国の人々のくらしを、映像と連動した振動や熱、風などで体感。よりリアルに問題意識を持てる展示となっています。
4.老いパーク
設置エリア:3階 常設展示ゾーン「未来をつくる」
「老い」について、身体に起こる変化や、その変化が起こった時の生活をサポートする技術など、科学技術の観点から注目した展示。目、耳、運動器(身体運動に関わる全ての部位)、脳の老化現象を、6つの展示で疑似体験できます。
大好きなおじいちゃん、おばあちゃんの感覚を疑似体験できるとあって、わが子2人に大ヒット! ゲーム感覚で白内障の見え方を体感する展示では、ぼやけたり、まぶしかったり、黄色っぽく見えたりする画面に、「こんなにも見えにくいの!?」と筆者も驚愕(きょうがく)。
「サトウさん、アトウさん、カトウさん」の違いの聞き取りにくさを体験する耳の老化の展示では、息子が「全っ然っ分からない!」と悲鳴を上げながら、意地になって何度もチャレンジ。
また足におもりを付けて坂の上のスーパーマーケットを目指す体験では、一歩を踏み出すのがどれだけ大変か実感したようで、体験後「車にひかれそうになって危なかった……おばあちゃんたちも気をつけないとね」と、疲労困憊(こんぱい)ながら真顔で語っていました。