ステークホルダーの意味とは? ビジネスでの使い方や役割、取り組み事例を簡単に解説

ステークホルダーの意味とは、「利害関係者」です。具体的なステークホルダーの例としては、「株主」「従業員」「金融機関」「取引先」「地域社会」が該当し、「直接的ステークホルダー」と「間接的ステークホルダー」の2種類に分類されます。

ステークホルダーの意味とは? ビジネスでの使い方や役割、取り組み事例を簡単に解説
ステークホルダーの意味とは? ビジネスでの使い方や役割、取り組み事例を簡単に解説

近年さまざまな場所で耳にする「ステークホルダー」という言葉。ぼんやりとしたニュアンスは分かっていても、実は詳しく知らないという人が多いかもしれません。

大企業においては特に重要度の高いステークホルダーという存在について、ビジネスでの使い方や意味、役割、取り組み事例などをフリーアナウンサーの新保友映が詳しく解説します。

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<目次>
ビジネス用語「ステークホルダー」の意味とは?
例文別:ステークホルダーの範囲
「ストックホルダー」「シェアホルダー」との違いは?
「ステークホルダー」が注目されている理由は?
「ステークホルダー」は2種類に分類される
「ステークホルダー」が担う役割
「ステークホルダー・エンゲージメント」の考え方と取り組み事例
まとめ

ビジネス用語「ステークホルダー」の意味とは?

ステークホルダーを一言で表すと「利害関係者」です。ステークホルダーは以下の2つを合わせた言葉で、1980年代から使われるようになったといわれています。

ステーク=stake=賭け金/出資金
ホルダー=holder=保有者

ステークの直訳は賭け金や出資金ですが、株主や投資家以外の人もステークホルダーに該当します。ステークホルダーは、企業に対して「利益または損害」を与える可能性のある人物や団体のことを広く指しているのです。

具体的なステークホルダーの例は、以下のとおりです。

株主

・企業の業績によって配当金の利益を得る
・株価が暴落すれば損をする

従業員

・会社の業績をあげるために自身の労働力を貢献する
・対価として賃金をもらう

金融機関

・企業へ貸付を行うことで利益を生み出す
・企業が倒産した場合は損害をこうむるおそれがある

取引先

・取引を行うことで自社の利益を得る
・企業が倒産した場合、共倒れになるおそれがある

地域社会

・その地域に住む住民の雇用を生み出せる
・企業が倒産した場合、地域経済が衰退するおそれがある

この他にも「消費者」「メディア」「政府」などもステークホルダーであり、非常に幅広い範囲を指す言葉となっています。

例文別:ステークホルダーの範囲

ステークホルダーは幅広い意味で使われていますが、具体的にどこまでの範囲をステークホルダーと呼ぶかは企業によって大きく異なります。スムーズに会話を進めるためには、会話の中で聞き手がその意味を即座に理解することが大切です。以下の例文を見ながら、場面ごとの「ステークホルダー」が示す範囲を知っておきましょう。

「ステークホルダーの満足度向上を目指す」

それまでの会話やシチュエーションによってステークホルダーが指す対象が異なります。経営陣が集まって話し合いをしている場合は、ステークホルダーは企業の従業員やその家族を指すと考えられます。一方、経営陣が従業員に向けて使う場合は、ステークホルダーは顧客や取引先の相手、行政機関、地域社会などの可能性があります。

「ステークホルダーに配慮した経営戦略を実施する」

こちらも、前後の会話やシチュエーションによってステークホルダーの意味合いが変わってきます。例えば、会議で経営戦略の話をしている最中であれば、ここでのステークホルダーは顧客やユーザーのことを指している可能性が高いでしょう。一方、融資の話であれば、ステークホルダーは金融機関のことを指しているとも考えられます。

「次回の株主総会では、ステークホルダーの支持を得られるよう、誠実な態度を示すべきだ」

ステークホルダーの支持票を得たいという内容ですが、文頭に「株主総会」とあるため、ここでは企業の株主がステークホルダーに該当することが分かります。

「今はステークホルダーとコミュニケーションを図り、信頼を深めるべきだと思う」

この場合、経営会議の最中であればステークホルダーは顧客や株主、取引先、債権者などを指していることが予測できます。また、企業誘致のための会議の中で発せられた意見であれば、ステークホルダーは地域住民となります。

このように、ステークホルダーは会話やシチュエーションによって意味合いが変わります。特にビジネスシーンでは意味に行き違いが生じないよう、どういった意味で発せられたのか、文脈から読み取りながら会話することが重要です。

「ストックホルダー」「シェアホルダー」との違いは?

ステークホルダーと間違いやすい「ストックホルダー」「シェアホルダー」の2つについて解説します。

「ストックホルダー」の意味

ストックホルダーとは主に「株を所有している株主」のことです。株主総会において、議決権を持っていない人のことを指します。ステークホルダーには株主が含まれており、細分化されたカテゴリの1つとしてストックホルダーの存在があります。

「シェアホルダー」の意味

シェアホルダーとは「株を所有しており、議決権を持っている人」のことです。端的に「大株主」と表現されることもあります。シェアホルダーも、ステークホルダーの中の分類の1つです。

「ステークホルダー」が注目されている理由は?

ステークホルダーが注目されるようになったのにはいくつかの要素がありますが、その1つとして「ステークホルダー資本主義」という概念があります。近年ESG投資が増えてきた背景もあり、単に業績となる数値だけでなく企業としての在り方そのものが問われるようになってきたのです。※ESG投資とは環境・社会・ガバナンスの要素を鑑みて投資するスタイルのこと。

企業としての良い姿勢をステークホルダーに見せることで、結果として業績アップにつながる可能性もあります。例えばステークホルダーである顧客や消費者からの支持を得られていない場合、自社のサービスや商品を積極的に購入してくれないかもしれません。またステークホルダーである株主や投資家と良好な関係を築くことで、資金面のサポートをお願いしやすくなる側面もあるでしょう。

従来は、主に売上数値のみで企業の業績を判断することが多くありました。しかし、ステークホルダー資本主義の考え方では、SDGsなどを含む地球環境にまで意識を向ける必要があるのです。

「ステークホルダー」は2種類に分類される

ステークホルダーには、以下2つの種類があります。

直接的ステークホルダー

直接的ステークホルダーとは、企業の業務に直接的に関わる人や団体のことです。
具体例は以下のとおりです。

株主
投資家
従業員
金融機関
消費者

これらの人や団体が起こした行動は、企業の業績や業務遂行に対して直接的な影響を与えます。

間接的ステークホルダー

間接的ステークホルダーとは、直接的ではないものの、何らかの利害関係が発生する間柄の関係の人や団体を指します。例えば「従業員の家族」は間接的ステークホルダーです。直接的ステークホルダーである社員が良い功績をあげた場合、家族にも何かしらの影響が与えられることになるからです。

その他には、政府も間接的なステークホルダーと言えます。例えば、政府が行った何らかの施策(法令整備など)によって、企業の営業活動に制限が出る場合があることが考えられるためです。直接のやりとりがなくても、互いに何かしらの影響を与える存在は数多くあるでしょう。地域社会や労働組合、競合の企業なども間接的ステークホルダーの1つです。

「ステークホルダー」が担う役割

ステークホルダーの存在は、企業にとって非常に重要です。ステークホルダーの担う役割を解説します。

リスクを最小限に抑える

ステークホルダーと良好な関係性を持っておくことで、リスク回避できます。例えば、従業員が企業に対して不信感を抱いていると、何らかのトラブルを起こしかねません。ステークホルダー側の意見をしっかり受け止めて、対応や対策を考えておくことで円滑な事業運営を行えるでしょう。

企業の信頼性と評判に影響する

ステークホルダーからの信頼を得ることで、企業のブランディングにもつながります。ステークホルダーから支持してもらうためには、相手の望んでいることを見極め、実行する力が必要です。

企業の存続と成長をサポート

株主や投資家は、企業の成長において欠かせない存在です。自社に関わってもらうことで得られるメリットを言語化しておくと良いでしょう。ステークホルダーとの強固な関係性は、安定的な経営につながります。

持続可能な経営を実現する

ステークホルダーの存在があることで、企業が社会的責任についてより深く考えるようになりました。「自分だけ良ければいい」という考えではなく、社会全体でさまざまな課題に取り組む姿勢が問われています。時に見守り役のような存在でもあるステークホルダーは、企業が持続可能な経営を行えるよう共に歩んでくれるでしょう。

「ステークホルダー・エンゲージメント」の考え方と取り組み事例

ステークホルダー・エンゲージメントとは、企業がステークホルダーに寄り添って行う活動や、そのプロセスのことです。ステークホルダーとの信頼関係を築くためには、直接対話することが第一歩です。具体的には、企業とステークホルダーの交流の場を作ったり、アンケートを取ったりするなど目的に応じた施策を行います。

ステークホルダー・エンゲージメントは企業にとっての広報施策ではありません。ステークホルダーからの意見を吸い上げることは、事業発展や地域や環境課題への取り組みにおいて欠かせないプロセスです。主旨をよく理解し、短期的な利益を求める目的ではないことを理解しておく必要があるでしょう。

以下では、実際に取り組まれたステークホルダー・エンゲージメントの事例を3社紹介します。

大手電気通信事業者

ある大手電気通信事業者では、以下のような取り組みを行っています。電気通信はインフラの1つとも言える、世の中に欠かせない事業です。政府や地域との連携も重要視されるでしょう。

【株主に対して】
・株主総会での決算説明会や報告を行った
・個人投資家との意見交換を行った
・ガバナンスの強化に努めた

【従業員に対して】
・従業員が社長や役員と直接、話せる機会を設けた
・従業員の人権を尊重した
・労働組合と話し合いの場を持った

【地域に対して】
・社会貢献になる活動を行った
・地域の行政と意見交換の場を持った
・地域住民の教育に役立つコンテンツを提供した

損害保険会社

ある大手損害保険会社では、以下のような取り組みを行っています。損害保険は、顧客の安全や安心を守る重要な役割を担っていると言えます。お客さま(ステークホルダー)の声に耳を傾けることで、事業の改善点が見つかることもあるようです。

【株主に対して】
・適切な時期に経営状況に関する情報開示を行った
・株主や投資家の意見を経営に生かした

【取引先に対して】
・全ての取引先と公正かつ公平な取引を行った
・取引先と連携して環境や社会問題に配慮した取り組みを行った

【顧客に対して】
・顧客視点での価値判断を行った
・「お客さまの声」を事業に生かした

総合不動産デベロッパー

ある総合不動産デベロッパーでは、以下のような取り組みを行っています。「街づくり」を担う大手デベロッパーの役割として、地域社会やNGO・NPOとの取り組みも多く行っているようです。

【株主に対して】
・機関投資家とマンツーマンでの対話を行った
・株主や投資家向けのさまざまなミーティングやカンファレンスを行った

【地域社会に対して】
・地域に社会貢献できる仕組みを作った
・行政や自治体との対話を行った

【NPO】
・NPOに対して、気候変動や資源循環に関するイベントなどを共に開催した
・個別にダイアログを実施した

まとめ

ビジネスシーンでよく使われる「ステークホルダー」という言葉ですが、消費者や地域住民の立場としても、知っておくと役立つ内容です。企業側の立場においてはステークホルダー・エンゲージメントを理解・実行することで、安定的に事業継続できる可能性が高まるでしょう。

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