ニッチの意味とは? 言い換え表現や使い方をビジネスシーン別で解説

ビジネスシーンなどでよく聞く「ニッチ」という言葉。正しい意味を理解して使えていますか? この記事では、フリーアナウンサーの新保友映が言い換え表現や対義語などを解説していきます。

ニッチの意味とは? 言い換え表現や使い方をビジネスシーン別で解説
ニッチの意味とは? 言い換え表現や使い方をビジネスシーン別で解説

ビジネスシーンなどでよく聞く「ニッチ」という言葉。正しい意味を理解して使えていますか? この記事では、シーン別の「ニッチ」の意味や言い換え表現などを解説します。

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<目次>
ニッチの意味とは
ニッチの類語・言い換え表現
ニッチと類義語との意味の違い
ニッチを使ったよくある単語
ニッチの対義語
まとめ

ニッチの意味とは

シーン別のニッチの意味を説明します。

・ニッチの意味(1)フランス語本来の意味
カタカナ語の「ニッチ」は、英語の「niche」からきています。その英語はフランス語の「niche」が語源です。フランス語での本来の意味は「壁龕(へきがん)」つまり「彫像や花瓶、噴水などを置くために壁をえぐって造られた凹状の部分」のことを指しました。

・ニッチの意味(2)ビジネスでの使い方
ビジネスでは、需要の小さな市場や、特定の利用者グループに特化した製品やサービス、また大手の企業が狙わないような、規模は小さいけれど需要のある事業領域のことをいいます。現状の市場では補えていない「隙間」のことも指します。

 ・ニッチの意味(3)建築業界での使い方
建築業界で「ニッチ」は、彫刻や花瓶、絵などを置く、厚みのある壁をえぐって造られたくぼみの部分のことを言います。先述した、フランス語本来の言葉の由来に関連します。

・ニッチの意味(4)生物学での使い方
生物学で「ニッチ」は「生態的地位」のことをいいます。「生態的地位」とは、生物種が生態系の中で占める食物や生息場所のことで、この生態的地位を獲得できた生物種だけが、生態系の中で安定して生きることができます。

 ・ニッチの意味(5)地学用語での使い方
地学用語での「ニッチ」は、「岩などのくぼみ」「割れ目」「裂け目」のことを指します。

 ニッチの類語・言い換え表現

「ニッチ」という言葉を言い換えるには以下のような言葉を使うことができます。

 ・言い換え(1)隙間
まず1つ目は「隙間」という言葉です。現状の市場では補えていない「隙間」、現在の商品やサービスではカバーできていない「隙間」と言い換えることができ、その隙間をビジネスの穴場として捉えることで、会社にとって成長や収益の大きな可能性となる場合があります。

・言い換え(2)個性的な・一般的でない
「個性的な・一般的でない」という言葉で言い換えることもできます。隙間を狙った商品や、そういった商品・サービスに注目することから、大規模・大衆的なものではなく、良い意味で「小規模だけれど他の人が目をつけなかった、個性的なもの・一般的でないもの」という意味で使われているときはこちらの言葉で言い換えると良いでしょう。
 
・言い換え(3)風変わりな
「風変わりな」という言葉で言い換えることもできます。他の人が注目しない、関心を示さない「ニッチ」な趣味や商品などのときに、「風変わりな」という言葉で言い換えることもできます。上述の「個性的な」という言い換えよりは、少しネガティブな意味合いが含まれる感じもするので、ポジティブな意味で言い換えたいときは「個性的な」の方が良いでしょう。

ニッチと類義語との意味の違い

「ニッチ」の類義語の意味と違いを説明します。

 ・ニッチとマイナー・マニアックの違い
「マイナー」は、「あまり知られていないこと、有名でないこと」また「小さいこと」を、「マニアック」や「あることに極端に熱中しているさま」を表す言葉です。「ニッチ」は、ビジネス用語では、規模は小さいけれど需要のある事業領域のことをいうため、完全に同じ意味で使うことはできません。

・ニッチとブルーオーシャンの違い
「ブルーオーシャン」は、市場にまだ出てきていない競争相手のいない未開拓の市場のことをいいます。他社が進出しておらず、高い利益が生まれる可能性があるため、ビジネス用語での「ニッチ」と意味が似ている言葉です。

 ・ニッチとロングテールの違い
「ロングテール」は、販売数の少ない商品群の売上の合計が、売上全体の大きな割合を占めることをいいます。売れ筋の商品に頼るのではなく、販売総数の少ない製品を数多く取り扱うことで、顧客の総数を増やして販売利益を増やす方法のことです。この中の「販売総数の少ない製品」=「ニッチな製品」ということになります。

ニッチを使ったよくある単語

「ニッチ」という言葉を使った単語の説明をします。

・ニッチビジネス・ニッチマーケティング
「ニッチビジネス」とは、市場の大多数を占める顧客のニーズに対してではなく、市場の一部の顧客や特定の需要に対して、商品やサービスを提供するビジネスのことをいいます。「ニッチマーケティング」とは、ニッチ市場に対して製品やサービスを提供するマーケティング戦略のことです。

一般的な市場では、大量生産や大量販売によって利益を追求することが多いわけですが、ニッチ市場では、少数の顧客に合わせた製品やサービスの提供が重要になります。

・ニッチ企業・ニッチ商品
「ニッチ企業」とは、規模が比較的小さい専門的な市場をターゲットとする事業を行っている企業のことをいいます。また「ニッチ商品」とは、需要が少なかったり、季節や年齢、目的などで限定的だったり、ニーズはあるが満たされてない隙間を埋める商品のことをいいます。

 ・グローバルニッチトップ
「グローバルニッチトップ」とは、世界市場における隙間市場・分野をターゲットとしている企業の中でも、その隙間市場で占有率が高い企業のことです。

 ・エコロジカルニッチ
「エコロジカルニッチ」は、「生態的地位」のことです。「ニッチ」の生物学での意味を説明したように、生物種が生態系の中で占める食物や生息場所のことで、この生態的地位を獲得できた生物種だけが、生態系の中で安定して生きることができます。

ニッチの対義語

「ニッチ」の対義語には以下のようなものがあります。

 ・対義語(1)マス・メジャー
「マス」は英語の「mass」に由来するカタカナ語で、「集まり・集団」「多数・たくさん」「大衆」という意味があり、「メジャー」は英語の「major」に由来するカタカナ語で「大規模である」「主流である」「大きい・多い」などを意味する言葉で、いずれも「ニッチ」の対義語になります。

 ・対義語(2)一般的・標準・スタンダード
「一般的」とは「世間や全体にいきわたっている様子」、「標準」は「ふつうはこれであるという理由で1つの目安となるもの」、「スタンダード」は「標準となる様子、標準的」を意味し、「ニッチ」は需要の小さな市場や現状の市場では補えていない隙間のことを意味するため「一般的」や「標準」、「スタンダード」は「ニッチ」の対義語になります。

 まとめ

「ニッチ」はビジネス語では、需要の小さな市場や、特定の利用者グループに特化した製品やサービス、また大手の企業が狙わないような、規模は小さいけれど需要のある事業領域のことをいいます。ビジネス語以外の分野でも「ニッチ」という言葉は使われますので、それぞれの意味を正しく理解し使用することが大切です。

■執筆者プロフィール
新保友映
新保 友映(しんぼ ともえ)
山口県岩国市出身。青山学院大学卒業後、2003年にアナウンサーとしてニッポン放送に入社。「オールナイトニッポンGOLD」のパーソナリティをはじめ、「ニッポン放送ショウアップナイター」やニュース情報番組、音楽番組など担当。2018年ニッポン放送退社後はフリーアナウンサーとして、ラジオにとどまらず、各種司会、トークショーMC、Youtube、Podcast、話し方講師など幅広く活動。科学でいじめのない世界をつくる「BE A HEROプロジェクト」特任研究員として、子どもたちの授業や大人向け講座の講師も担当している。
 
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