エレベーター、気づいたら上司がボタンの前に……入れ替わる? 先に降りる? 【マナーのプロが解説】

エレベーターに乗る際、先に上司にボタンの前に立たれてしまったら、どうすればよいのでしょうか。「All About」ビジネスマナーガイドの美月あきこが解説します。

エレベーターで上司がボタンの前に……どうする?
エレベーターで上司がボタンの前に……どうする?
毎日のように利用するエレベーター。上司と乗り合わせる機会も少なくないだけに、マナーはしっかり理解しておきたいところですが、判断に迷うシーンもありますよね。

「All About」ビジネスマナーガイドの美月あきこが解説します。
 

(今回の質問)
エレベーターで上司にボタンの前に立たれてしまいました。どうすればよいですか?

(回答)
無理やりに上司との場所を入れ替わろうとするのは、マナーとしてNG。自分が先に降りてから、「どうぞ」と上司が降りるまで笑顔でドアを押さえましょう。

どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

慌てず、騒がず。自分が先に降りてドアを抑えましょう

まず、エレベーターにも「上座」「下座」があることを認識しましょう。部屋の場合、入り口から1番奥に当たる席が上座で、入り口に最も近い席が下座です。エレベーターもこれと同様に、内部の奥が上座、ドア付近・操作パネルの前が下座に当たります。

そうなると、部下や後輩が操作パネルの前に立つのが基本的なマナーになります。ただ、今回のご質問のように、上司が操作パネルの前に立った場合、わざわざその場所を変わろうとするのは、スムーズな乗り降りの阻害や他の人たちの邪魔になってしまいかねません。気を利かせたつもりが、気が利かない、融通が利かない印象を上司に与えかねないでしょう。

かといって、操作パネル前にいる上司の背後に回り、先に降りるよう促しつつ、「開」ボタンを押すのは、マナーの観点以前に安全面からNGです。万が一、スムーズにいかなかった時、上司がドアに挟まってしまう可能性もあり、非常に危険です。この場合は、自分が先に降りてから、「どうぞ」と上司が降りるまで笑顔でドアを押さえ、ホテルスタッフのような所作で上司に敬意を示すようにしましょう。

本来の上座と下座が入れ替わってしまった場合、部下や後輩としては恐縮してしまい、「大変申し訳ありません」とペコペコしてしまいがちです。しかし、エレベーター内はとても狭い空間なので、ペコペコとお辞儀をされると邪魔なだけです。慌てず、騒がず、「ありがとうございます」「恐れ入ります」と会釈だけをし、あとはエレベーター内で極力静かに過ごします。そして、目的のフロアに着いたら、迅速に降りましょう。

「上司が自分より後ろに並んだ場合」の正しいマナーは?

エレベーターを待っている際に、上司が自分より後ろに並んだ場合、次のような対処法があります。上司が自分の目的階と同じ場合は、自分が先に乗って操作パネルの前に立ちます。その後、上司が乗ってくるまで「開」ボタンを押しておきましょう。上司が先に降りる時には、「開」ボタンを押して「どうぞ」と声をかけます。

上司が自分の目的階よりも上に行く場合は、上司に先に乗ってもらい、自分はその隣に立ちます。操作パネルには自分で手を伸ばしてボタンを押した方が良いですが、必ず「失礼します」と一言添えます。上司が親切に目的階を聞いてきた時は、お礼を述べてから目的階を伝えましょう。

エレベーターは、狭い空間で多くの人と接する場所です。上司や先輩には敬意を示し、マナーを守って気持ちよく利用しましょう。
 
この記事の筆者:美月 あきこ
17年間の国際線キャビンアテンダント経験を基に人財育成トレーナーとして活躍。人財育成会社、CA-STYLE設立。全国で講演、研修経験多数。著書に『15秒で口説く エレベーターピッチの達人』(祥伝社)など。
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