やりすぎるとお腹を壊す? ラーメンの「粉落とし」って何? 【ラーメン評論家・大崎裕史が解説】

「意外と知らないラーメン用語」の意味を、ラーメンデータバンクの取締役会長であり、自称「日本一ラーメンを食べた男」として多くのメディアに出演している大崎裕史が解説します。今回取り上げる用語は「粉落とし」です。

国民食といっても過言ではないほど、日本中で愛される料理・ラーメン。日常的に食べている人も多いのではないでしょうか。
粉落とし
「粉落とし」って何?
しかし一方で、ラーメンにまつわる用語の意味まで正しく理解できている人はそれほど多くないかもしれません。そんな「意外と知らないラーメン用語」の意味を、ラーメンデータバンクの取締役会長であり、自称「日本一ラーメンを食べた男」として多くのメディアに出演している大崎裕史が解説します。

今回取り上げるラーメン用語は「粉落とし」です。

「粉落とし」ってどういう意味?

粉落としアンケート
「粉落とし」という言葉を知っているか
All About ニュース編集部は、全国の10~70代の男女500人に「粉落とし」という言葉を知っているか調査を実施。その結果、「知っている」と回答した人が58%、「知らない」と回答した人が42%という結果となりました。半分以上の人がこの言葉を知っているようです。

「知らない」と回答した人にどんな意味だと思うか聞いてみたところ、「麺を作った際の小麦粉などの粉を落とすこと」(20代女性/神奈川県)、「胡椒を入れることだと思います」(50代男性/奈良県)といった回答が集まりました。この中に正解の意味はあるのでしょうか?

粉落としは「博多ラーメンで粉を落とす程度しか麺を茹でないこと」

「粉落とし」とは、博多ラーメンで粉を落とす程度しか麺を茹でないことを指す言葉です。

博多ラーメンのお店では、麺の硬さを選べることが多いです。その種類として、硬め、普通、柔らかめが一般的ですが、「硬め」をさらに茹で時間を短くした「バリカタ」もあります。
 
元々博多ラーメンは細めが多く、40秒〜1分程度の茹で時間が主流。硬めだと30秒前後、バリカタだと20秒程度の茹で時間となります。店内で表示している場合だとこの「バリカタ」までにしているケースが多いですが、常連さんやマニア向けにさらに硬めの「ハリガネ」などを用意している店舗も。その場合の茹で時間は10秒〜15秒程度です。

そして、さらに茹で時間を短くしたものが「粉落とし」。その名の通り、「麺に付いている粉を落とす程度」しか茹でません。つまり5秒前後となります。粉落としはほとんどの店が対応していない場合が多いです。

このように、博多ラーメンは茹で時間が短いため、ゆでる際にタイマーを使わない場合が多いといわれます。10秒20秒という時間だとタイマーが面倒になるため、麺茹で担当の感覚(勘)で決められる場合が多いのです。

粉落としよりも茹でない「湯気通し」「ナマ」がある?

実は、粉落としよりも茹でない「湯気通し」もあります。これはその名の通り、湯気に数秒触れる程度、という意味合いで、実際はお湯にほんの数秒入れる程度で提供されます。

さらに、お湯にすら入れない「ナマ」というものも。これもその名の通りで、「生」だからお湯にすら入れません。ですが、麺は小麦粉の状態のままだと胃腸が消化できずにおなかを壊すことがあるので要注意。麺はちゃんと茹でて食べることこそがおいしく、身体にもよいのです。

最後に、麺の固さの順番を復習しておきましょう。柔らかめ→普通→硬め→バリカタ→ハリガネ→粉落とし→湯気通し→ナマの順番で硬くなります。博多ラーメンを食べに行く際には、覚えておいてもよいかもしれません。
     
この記事の筆者:大崎 裕史
株式会社ラーメンデータバンク取締役会長。28,500杯(2023年11月末現在)を食破した自称「日本一ラーメンを食べた男」として、メディアで幅広く活動中。
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