今回取り上げるラーメン用語は「96年組」です。
「96年組」ってどういう意味?
「知らない」と回答した人にどんな意味だと思うか聞いてみたところ、「96年に流行ったお店のこと」(30代女性/東京都)、「96年生まれのラーメン店オーナーが活躍している」(40代女性/神奈川県)といった回答が集まりました。この中に正解の意味はあるのでしょうか?
96年組は「1996年にオープンした、影響力を持ったラーメン店3軒のこと」
「96年組」とは、1996年にオープンした「麺屋武蔵」(青山一丁目)、「中華そば青葉」(中野)、「くじら軒」(横浜)の3軒のことです。後にオープンするラーメン店に多大なる影響を与えた3軒で、96年以前と96年以降とではラーメンシーンがかなり変わりました。それぞれの店が与えた影響とは?
「麺屋武蔵」は、屋号に「麺屋」を付けた元祖であり、これ以降「麺屋○○」という店名が増えていきました。ジャズを用いたBGM、元気の良い接客、季節ごとの限定メニュー、券売機、オシャレな内装やユニホームなど、多くのことに対して先鞭(せんべん)をつけていき、業界に影響を与えたラーメン店です。現在は青山一丁目には店舗はなく、15店舗を展開するグループとなっています。「中華そば青葉」は、動物系スープと魚介系スープをブレンドして完成させる『Wスープ』を浸透させた店舗です。また、『特製』という少しずつ具を増やす、お得感のあるメニューの開発も。具体的にはチャーシューとメンマとのりを少し増量し、味付玉子を新たに加え、それで2~300円程度の価格上乗せで提供するメニューです。さらに、スープを濃いめにしてそれをつけ汁とし、ラーメンと同じ麺を水で〆て提供する「つけ麺」を一気に浸透させた店でもあります。
「くじら軒」は、神奈川淡麗系の元祖と呼ばれており、今までとは違った清湯スープ(透明感のあるスープ)での提供をした店舗です。また、香味油に付加価値を付けたり、サイドメニューにミニ丼などのご飯物メニューを増やして客単価を上げたりもしました。
上記の3店舗が「96年組」です。現在では、2011年にオープンした「ソラノイロ」「くろ㐂」「マタドール」などが「11年組」と呼ばれるなど、同年に誕生した人気の3店舗をまとめて「○年組」などとまとめられるようにもなっています。気になった人は、ぜひ一度店舗を訪れてみてはいかがでしょうか。
この記事の筆者:大崎 裕史
株式会社ラーメンデータバンク取締役会長。28,500杯(2023年11月末現在)を食破した自称「日本一ラーメンを食べた男」として、メディアで幅広く活動中。
株式会社ラーメンデータバンク取締役会長。28,500杯(2023年11月末現在)を食破した自称「日本一ラーメンを食べた男」として、メディアで幅広く活動中。