「雨の日は濡れたまま旗を…」冷え込む朝の「旗当番」が大変すぎる問題。埼玉県在住・3児の母が抱える葛藤

保護者の負担が大きく、賛否両論が起こる「旗当番」問題。埼玉県在住・3児の母である筆者が抱く、旗当番にまつわる悩みや周りの保護者から聞いた本音の数々を紹介します。

そんな大変な「旗当番」、なくせばいい?

ざっとまとめてみただけでも、心身ともに負担が大きい「旗当番」。

筆者が住む地域では、保護者が交代で担当するのではなく、「シルバー人材センターに依頼する」などの案も毎年必ず出ています。実際、試験的にお願いしたこともあったのですが、高齢の方ということもあり、急な体調不良を申告され、結局当日に誰も担当者が集まらなかった、ということが何度かあり、断念した経験もあります。

保護者が順番で学校の近くまで登校班を引率することにして、いっそのこと旗当番をなくしたらどうかという意見も出るのですが、意外にも、「大変だけど、旗当番は必要かな……?」という声が多かったりもするのです。

1番大切なのは、子どもたちの安全と地域住民への配慮

朝の出勤時間ということもあり、車の交通量は多く、スピードを出す自転車や先を急ぐ歩行者などでごった返す通学路には危険があふれています。子どもの安全を考えると、黄色い旗や数人の保護者の存在は、ドライバーに注意を促すのに結構な効力があるのではないでしょうか。

また、誰もが急いでいる朝の通勤・通学時間帯。ずらーっと続く小学生の列にちょうど巻き込まれ、急いでいるのに前に進めない歩行者や自転車がいるのも事実。そんなときに、旗当番がうまくコミュニケーションをとり、地域住民との緩衝材的な役割を果たしている部分もあるのです。

保護者の負担を軽減する方法を模索し続ける日々

とはいえ、数年前までは筆者も旗当番に対し、「仕事もあるのに冗談じゃない」と憤りを感じることがしばしばありました。朝からの外出でも、服装に気を配ったりして、ストレスを感じることもあったわけです。

しかし何年も旗当番を担当してきた今では、いいところに気付くこともできました。「みんなで子どもたちを見守っていこうよ」というような穏やかな気持ちになり、これが年の功ってやつか……なんて思ったりもします。

朝は驚くほどテンションが低く、生気を失ったようなあいさつしかできない小学生ばかりですが、横断歩道を渡るとき、ボソッとでも「おはようございます」なんて言ってもらえると、「今日も子どもたちの安全を守れた……」という達成感に満ちてきます。

賛否両論飛び交う「旗当番」問題。何よりも子どもたちの安全を優先した上で、1カ所の人数を減らして頻度を抑える、より安全な登校ルートを見直すなど、保護者にとっての負担が軽減できる方法を今日も母たちは模索し続けています。

この記事の筆者:渡辺 有
小中学生を対象にした学習塾講師兼フリーランスライター。塾講師、小学校受験を控えた幼児教室の補助講師だけでなく、3児の母として自らの子育てから培ったノウハウや経験をもとに、受験・教育・子育ての実態について執筆活動を行う。
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