(質問)
男女の年収格差があると聞きますが、実際どのくらいの差があるのでしょうか?
(回答)
2022年発表の賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の月額平均賃金は男性34万2000円、女性25万8900円となっており、女性の方が24.3%低い状況です。ただ、格差の大きさは職種によっても違いがあります。
どういうことなのか、以下で解説します。
日本における男女の収入格差はOECD加盟国でワースト3位
厚生労働省が2022年に発表している賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の月額平均賃金は男性34万2000円、女性25万8900円でした。男性を100としてみた男女間賃金格差は75.7です。つまり、女性は男性よりも24.3%低いというのが格差の現状。国際的に見ても、日本はOECD14カ国の中で、韓国、イスラエルに次いでワースト3となっており、日本は男女の賃金格差が大きい状態にあると言えるでしょう。
時短勤務や休職の影響により、年代が上がるごとに差が広がる
男女の年収格差が生じる原因は、いくつか考えられます。同じ会社に同職種で新卒入社した場合、基本的に男女の年収格差はないのが一般的です。しかし、出産などのライフイベントで育児休暇や時短勤務を選択するのは女性であることがまだ多いこともあり、仕事をセーブせざるをえない期間があることで、昇進・昇格など年収が上がるタイミングに差が出ていると考えられます。
しかし、結婚・出産などのライフイベントを経たと考えられる30代以降になると男女の賃金格差が開きはじめます。年収400万円未満の割合は、30代では男性40.7%に対し、女性60.5%とギャップが19.8%に拡大。さらに、40代、50代になると約30%に広がり、男女の年収格差はより顕著になっていくことが分かります。
職種によって格差に違いも? IT系では格差が少ない
一方、職種別に見てみると、男女の年収格差が顕著な職種とそうではない職種があります。しかも、男性は年代が高くなるにつれて年収が上がっていくのに対し、女性は30代以降、年収300万円未満の割合が30%台をキープ。年収が上がっていないことが見て取れます。
男性が多いイメージのあるITエンジニア職ですが、近頃はリモートワークもしやすく、手に職をつけやすいということで女性にも人気が高まっている職種です。このような職種を目指す女性の割合が増えることが、年収格差を縮める1つの要因になるかもしれません。
男女の賃金格差は徐々に縮まっている
現在24.3%である男女の賃金格差は、10年前の2013年は28.7%、20年前の2003年は33.2%でした。少しずつですが確実に差は縮まっています。また、出産や育児、介護などは女性だけが担うのではなく、男性も積極的に参加すべきだという考えも広まり、男性の育休取得なども増えつつあります。そして、女性の管理職比率を増やす動きをしている企業も増加傾向です。こうした取り組みによって、男女の賃金格差がさらに縮まっていくことを期待しています。
この記事の筆者:三ツ橋 りさ
2006年4月、株式会社キャリアデザインセンターに入社。転職情報誌『Womantype』の編集を経て、転職サイト『女の転職@type(現・女の転職type)』のUI/UX改善やサイトリニューアルなどに従事。13年4月~15年12月まで『女の転職@type(現・女の転職type)』の編集長に就任。産育休を経て16年11月より転職サイト『@type(現・type)』の編集長として復職。19年10月より2度目の産育休を取得し、21年5月に復職。21年6月から『type』編集長に就任し現在に至る。