暖房費用を節約するには、エアコンとヒーター、電気ストーブどれが良い? 【家電の専門家が解説】

暖房器具にはエアコン、ヒーター、電気ストーブなどさまざまな種類がありますが、使い分け方に迷う人もいるのではないでしょうか。節電する上で最も適している暖房器具は何か、その理由について「All About」デジタル・家電ガイドの安蔵靖志が回答します。

電気代を節約するには、どの暖房器具がいい?
電気代を節約するには、どの暖房器具が良い?
暖房器具にはエアコン、ヒーター、電気ストーブなどさまざまな種類がありますが、使い分け方に迷う人もいるのではないでしょうか。

家電エバンジェリストで「All About」デジタル・家電ガイドの安蔵靖志が回答します。
 

(今回の質問)
暖房費用を節約するには、エアコンと電気ファンヒーター、電気ストーブ、どれが良いのでしょうか?

 

(回答)
部屋全体を暖めるのであれば、電気暖房の中ではエアコンが圧倒的に省エネでおすすめです。


どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

エアコンは電気ヒーターと比べて5倍以上省エネ

エアコンは冷房でも暖房でも多くの電気を消費する悪者のように見られがちですが、決してそんなことはありません。冷房の場合、室温を下げられる家電はエアコンしかないので、扇風機と比較してしまうと確かに多くの電気を消費します。

しかし暖房の場合、電気ヒーターやガスストーブ、ガスファンヒーターなども比較対象になります。その中でも電気ストーブや電気ファンヒーターなどの暖房家電と比較すると、エアコンは圧倒的に省エネなのです(ガスヒーターについては計算が複雑なので省略します)。
 
では、どのくらいエアコンが省エネなのかを確認する方法を紹介しましょう。
 
エアコンの製品仕様には、必ず「暖房能力(冷房能力)」と「消費電力(暖房/冷房)」という項目があります。これは例えば暖房能力が2.5キロワット(2500ワット)で消費電力が440ワットとすると、440ワットの消費電力で2500ワットの暖房パワーを得られることを示しています。2500(暖房能力)÷440(消費電力)=約5.68が、このエアコンの暖房能力の1つの指標である「暖房COP(エネルギー消費効率)」を表しています。つまりこのエアコンは1の電力で5.68倍もの暖房パワーを得られるというわけです。
 
一方、消費電力1000ワットの電気暖房の場合、1000ワットの暖房能力しか得られません。エアコンが採用する「ヒートポンプ」が「熱交換」という高い技術を使っているのに対し、電気暖房はそうした省エネ技術が用いられていないためです。

健康面では、省エネにこだわりすぎるのもNG

ただし、これはあくまでも部屋全体を暖める場合の比較です。部屋全体を電気ストーブや電気ファンヒーター、パネルヒーターなどで暖めるのはおすすめしません。しかし「部屋全体ではなく足元だけ暖めたい」といったニーズの場合は、エアコンよりも省エネで過ごせる場合もあります。部屋は寒いままで、コタツに入って暖まるというのも同様です。
 
気温の変化で血圧が上下する「ヒートショック」対策のために脱衣所に小型ファンヒーターを置くといった使い方も、長時間使うのでなければ十分に有効ですし、そういった使い方の場合はあまり省エネを追求しすぎるのもおすすめできません。無理のない範囲で省エネを追求するのがいいのではないでしょうか。
 
この記事の筆者:安蔵 靖志
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。記事執筆のほか、テレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電コーナーの構成なども手掛ける。
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