ビジネス文書の書き出し一覧! 「時候の挨拶」「頭語と結語」などの正しい書き方をアナウンサーが解説

ビジネス文書の書き出しや時候の挨拶は使うことが多いので、すぐに書けるように定型文を覚えておくと良いでしょう。相手別の正しい書き方をフリーアナウンサーの小川厚子が解説します。

ビジネス文書の書き出しの挨拶一覧! 正しい書き方を相手別に解説【例文あり】
ビジネス文書の書き出しの挨拶一覧! 正しい書き方を相手別に解説【例文あり】

ビジネス文書の書き出しや時候の挨拶は使うことが多いので、すぐに書けるように定型文を覚えておくと良いでしょう。今回は、相手別の正しい書き方をフリーアナウンサーの小川厚子が解説します。

<目次>
ビジネス文書の書き出しでよく使う例文と使い方
【相手別】ビジネス文書の書き出しの例文
ビジネス文書の挨拶に必要な4つの要素
「頭語と結語」の例文
「時候の挨拶」の例文
「祝意・謝意」の例文
「結び(おわり)の言葉」の例文
ビジネス文書の書き出しにおける注意点
まとめ

ビジネス文書の書き出しでよく使う例文と使い方

ビジネスメールの書き出しは基本的には「拝啓」「謹啓」などの頭語は使いません。

「いつもお世話になっております。」
「いつも大変お世話になっております。」
「平素よりお世話になっております。」
「日頃より大変お世話になっております。」

これらは日頃からお付き合いのある方に向けて使われる挨拶文です。

「平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。」

こちらはかしこまったビジネス文書の書き出しです。初めてビジネス文書を送る相手に対して「いつも」「平素より」「日頃より」という言葉は使わないように注意しましょう。

【相手別】ビジネス文書の書き出しの例文

・個人宛
相手が個人ですので、健康に重きを置いて「ご清祥」「ご健勝」という言葉を使うと良いでしょう。「ご清祥」とは相手が健康で幸せに暮らしていることを喜ぶ挨拶の言葉です。「ご健勝」は健康であることを意味しています。「ご清祥」「ご健勝」は個人を対象に使う言葉であることを覚えておきましょう。

【例文】
 「貴殿におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます」
 「貴殿におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます」

・取引先やお客さま
取引先や顧客など、社外に対してビジネス文書を送る場合は、いつものお礼などの挨拶文を加えた文書を送ることがマナーです。

【例文】
 「平素より大変お世話になっております」
 「平素は格別のご高配を賜り心より御礼申し上げます」

・上司
上司にメールを送るシチュエーションは、書類のチェック、相談、依頼、謝罪などがありますが、敬語を使い分かりやすく簡潔に書くようにしましょう。「ご苦労様です」は目上の人が目下の人に対して使う言葉ですので使わないように注意しましょう。

【例文】
 「お疲れ様です。先日は、○○の件ありがとうございました」
 「お疲れ様です。〇〇の件は大変申し訳ございませんでした」

・同僚
同僚にメールをする際は、上司にメールする際と同様「お疲れ様です」「おはようございます」を用いると良いでしょう。「ご苦労様です」は目上の人から目下の人に使う言葉ですので、同僚であっても「お疲れ様です」を使うことをおすすめします。

【例文】
 「お疲れ様です。先日は〇〇の件、ありがとうございました」

ビジネス文書の挨拶に必要な4つの要素

(1)頭語と結語
頭語とは手紙やメールの冒頭に書く言葉です。「拝啓」「前略」「啓上」などがそれあたります。結語とは、手紙やメールの結びに書く言葉です。これは頭語に合わせた言葉が使われます。「拝啓」の場合は「敬具」、「前略」の場合は「早々」「啓上」の場合は「拝具」が対応しています。

(2)時候の挨拶
時候とは1年を24等分した二十四節気という暦が使われており、その季節に合わせて表現する挨拶を時候の挨拶といいます。少し季節を先取りした挨拶をします。時候の挨拶を添えることで、相手への気遣いが伝わり丁寧な印象を与えます。

(3)祝意・謝意
祝意はお祝いの気持ちをあらわします。ビジネスで文書やメールを送る場合に「貴社ますますご繁栄のことと心よりお慶び申し上げます」のように使います。謝意は、感謝の気持ちやお詫びの気持ちをあらわします。「平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます」のように用います。

(4)結び(おわり)の言葉
結びの言葉は、結語の前に書く文書を締めくくる言葉です。相手の繁栄や活躍、健康を祈る気持ちを書きます。

「頭語と結語」の例文

・頭語
頭語と結語は必ず対応したものを使います。
 例:「拝啓」「謹啓」「前略」「拝復」

「拝啓」は一般的によく使われます。結語は「敬具」です。

「謹啓」お客さまや目上の方に使います。結語は「謹白」です。

「前略」前文を省略する場合に使います。親しい方やお詫び、お見舞いの手紙に用いることができます。結語は「早々」です。

「拝復」は返信の手紙やメールの場合に使います。結語は「敬具」「拝答」です。

・結語
上記に示した通り、頭語に対応した結語を使うのが決まりです。
 例:「敬具」「謹厳」「早々」「拝答」

「時候の挨拶」の例文

時候には1年を24等分した二十四節気という暦が使われています。そのため季節に合わせて細かく使い分ける必要があります。定型文を使う際には時期に注意しましょう。月の前半と後半でも少しずつ変わります。日ごとに季節を少し先取りするイメージです。

・1月の時候の挨拶
1月の時候の挨拶は、どの書き出しも寒さを感じさせるものです。

【例文】
 「新春の候」「厳冬の候」「大寒の候」
 「いよいよ本格的な寒さとなってまいりました」
 「日ごとに寒さが増してまいりました」

・2月の時候の挨拶
生活の中ではまだまだ寒さの厳しい2月ですが、暦の上では春になりだんだん暖かくなっているという意味の季語が使われます。

【例文】
 「立春の候」「余寒の候」「向春の候」
 「寒さもようやくゆるんでまいりました」
 「立春とは名ばかりで厳しい寒さが続いております」

・3月の時候の挨拶
3月はいよいよ春の訪れを表す春らしい季語を使います。

【例文】
 「早春の候」「軽暖の候」
 「早春の息吹の感じられる今日このごろ」
 「一雨ごとに春めいてまいりました」

・4月の時候の挨拶
4月は春が始まって、終わっていく季節です。暖かさや春らしいフレーズが使えます。

【例文】
 「陽春の候」「桜花の候」「仲春の候」
 「野も山も人のいとなみも、にわかに動き出してまいりました」
 「花の便りもあちこちで聞かれる時候になってまいりました」

・5月の時候の挨拶
緑が生き生きとし始め、夏に向けて若葉や新緑などの言葉が使われる季節です。植物の生命力を感じさせるような挨拶が良いでしょう。

【例文】
 「新緑の候」「風薫る五月」「薫風の候」
 「新緑がまぶしい季節になりました」
 「はや夏の気配が感じられるころとなりました」

・6月の時候の挨拶
6月は梅雨の季節です。長雨、初夏という言葉が使われます。

【例文】
 「初夏の候」「長雨の候」
 「爽やかな初夏を迎え青葉の季節となりました」
 「衣替えの季節となりました」

・7月の時候の挨拶
夏の暑さが始まり、だんだん暑さが厳しくなっていき、夏を感じさせる挨拶となります。

​​​​​​​【例文】
 「仲夏の候」「酷暑の候」「大暑の候」
 「梅雨明けの暑さはひとしおに感じられます」
 「いよいよ本格的な夏を迎え蝉時雨しきりのころとまりました」

・8月の時候の挨拶
8月は真夏のイメージですが、暦の上では立秋を迎えるため晩夏、残暑などの季語が使われます。

​​​​​​​【例文】
 「晩夏の候」「秋暑の候」
 「立秋とは名ばかりの暑い日が続いております」
 「ひぐらしの声に涼味を覚えるころとなりました」

・9月の時候の挨拶
9月は初秋、秋晴など秋が始まったことに触れる季語が多く使われます。

​​​​​​​【例文】
 「初秋の候」「名月の候」「秋涼の候」
 「草花の色も深くなってまいりました」
 「秋風が心地よい時節となりました」

・10月の時候の挨拶
10月はだんだん寒くなってきたことを表す中秋、秋雨などの季語が多く使われます。

​​​​​​​【例文】
 「中秋の候」「夜長の候」
 「木々の葉もすっかり色づいてまいりました」
 「秋晴れの爽やかな日が続いております」

・11月の時候の挨拶
秋も終わりでこれから冬に移り変わっていくことを感じさせる季語が多く使われます。

​​​​​​​【例文】
 「初霜の候」「晩秋の候」
 「日増しに寒さが加わりいよいよ秋も深まってまいりました」
 「おだやかな小春日和が続いております」

・12月の時候の挨拶
12月は師走ですので、一年が終わることについて触れたりするのも良いでしょう。

​​​​​​​【例文】
 「師走の候」「初氷の候」「寒冷の候」
 「吹く風の冷たさが身に染みる年の瀬」
 「今年も残すところわずかとなりました」

「祝意・謝意」の例文

・祝意
【例文】
 「貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」
 「貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます」

 

・謝意
【例文】
 「平素より格別のお引き立てを賜り、厚く御礼を申し上げます」             
 「この度はご配慮いただき、心より感謝申し上げます」

「結び(おわり)の言葉」の例文

メールや文書での結びの言葉は、相手にふさわしい言葉で、季節感のあるものや相手をねぎらう言葉を用いると良いでしょう。

【例文】
 「よろしくお願い申し上げます」
 「どうぞよろしくお願いいたします」
 「何卒よろしくお願い申し上げます」
 「朝晩は冷え込む季節となりました。くれぐれもご自愛ください」
 「残暑厳しい折、体調を崩されませんようくれぐれもご自愛ください」

ビジネス文書の書き出しにおける注意点

ビジネス文書の書き出し結びでは、拝啓、敬具などの頭語と結語は省略するのが一般的です。

要件を相手に分かりやすく伝えることが目的ですので、回りくどい表現や分かりにくい曖昧な表現は避けましょう。

関連記事:正しいビジネス敬語とは? 間違いやすい使い方やメールの言い回しをアナウンサーが解説【例文あり】

まとめ

ビジネス文書の書き出しは、使うことが多いので定型文で覚えておくとよいでしょう。ただしその場に合ったものを使うことが大切です。必要に応じて、適切な文章が書けるようにしておきましょう。定型文を覚えておくことで、仕事もスムーズに進みます。

■執筆者プロフィール

担当ライター
小川厚子(おがわあつこ)
元NHK岡山放送局キャスター/NHK情報番組メインキャスター/NHKニュースセブンリポーター/NHKラジオ第一ニュース/NHKラジオ第一あさいちばんリポーター。退局後は、POLA・阪急不動産インフォマーシャル・グリコラジオCM・ナレーション、テレビドラマアナウンサー役などフリーアナウンサーとして活動中。こどもアナウンス発声協会講師/印象力アップアドバイザー/神戸市立中学校放送部部活動指導員/企業研修等、話し方講師として活動中。
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

編集部が選ぶおすすめ記事

注目の連載

  • ここがヘンだよ、ニッポン企業

    古い常識に縛られたおっさんが、ジェンダーやコンプラの前にアップデートすべき「昭和の価値観」3つ

  • どうする学校?どうなの保護者?

    どうする? 「PTA役員のなり手が見つからない」問題……何が役員の負担となっているのか

  • ヒナタカの雑食系映画論

    2024年の最新「LGBTQ+映画」5選。「第三の性」と尊ばれる実在のサッカー選手を描く映画も

  • アスリートの育て方

    「あの時、嫌な予感がした」父の死で進路急転。中3で単身故郷を離れた元日本代表・駒野友一の原動力【独占インタビュー】