<目次>
・等閑の意味とは
・等閑の由来
・等閑の正しい読み方
・等閑の使い方と例文
・まとめ
等閑の意味とは
「等閑」は「とうかん」「なおざり」と読み、物事を軽く見て、気にもとめないでいいかげんに扱い放っておくこと、なおざりにすること、深く心にとめないさまを表します。間違えやすい言葉で「おざなり」があります。
おざなりは、いいかげんに物事をすることでその場逃れで誠意のないさま、間に合わせ、いいかげんに形だけで物事を行うさまを表します。
「なおざり」「おざなり」はどちらもいいかげんであるという点では同じですが、「なおざり」はその物事にあまり注意を払わず放っておくのに対し、「おざなり」は何かを行う時あまり真剣にそのことに取り組まないという意味です。
「なおざり」はいい加減で何も対応しない、「おざなり」はいい加減ではあるけれど、とりあえず何らかの対応をするため、二つの言葉には大きな違いがあります。
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等閑の由来
「等閑」は中国由来のひじょうに古い言葉です。
もともと「気にもとどめずにほわほわとしていていい加減」という意味で使われていました。言葉の語源にはいくつかの説がありますが、その一つに「なほ(直・猶)+サリ(去)」というものがあります。「なほ」は「そのまま何もせずにいること」「去り」は遠ざけるという意味があります。そのことから「なおざり」は「何もしないで距離を置いておく」というのが語源だと思われます。
平安時代中期に書かれた源氏物語の中にも「なおざり」という言葉がよく使われています。主人公光源氏を通しての恋愛の話も多く、男性と女性の関係で「いい加減」であることを表すときに使われています。
このように、古くから使われていることが分かります。
等閑の正しい読み方
「とうかん」または「なおざり」と読みます。
「等閑」が「なおざり」と読めるのではなく、二つの言葉がもともと同じような意味を持つ言葉だったため同じ意味の漢字をあてたといわれています。「等閑に」と送り仮名がある場合は「とうかんに」ではなく「なおざりに」と読みます。
「等閑視」「等閑に付す」と書かれている場合は「とうかんし」「とうかんにふす」と読みます。
等閑の使い方と例文
・等閑
「等閑」とは物事を軽く見ていい加減に扱い放っておくこと、深く心にとめないさまを表します。
【例文】
「彼は家族を等閑に(なおざりに)して仕事に打ち込んでいます」
また、いい加減にしておくさま、本気でないさまを表します。
【例文】
「子どものしつけを等閑にするのは好ましくないです」
「子どもの等閑なピアノの練習態度に頭を悩ませています」
・「等閑視」
「とうかんし」と読み重要なものとみなさず注意を払わないことを表します。
【例文】
「現状を等閑視した結果、大損失となってしまいました」
・「等閑に付す」
「とうかんにふす」と読み物事をいいかげんに放っておく、なおざりにすること、かえりみないで放っておくことを指します。「付す(ふす)」には付くや添えるという意味があります。等閑視と同じような意味で使います。
【例文】
「この問題は決して等閑に付すべきものではありません」
まとめ
「等閑」という言葉は日常的にはあまり目にすることがないかもしれませんが、小説などで目にすることがあります。「なおざり」「おざなり」という言葉は日常でも耳にすることがあると思います。
なおざりは「等閑」おざなりは「御座形」と書きます。「いい加減である」という部分では二つの言葉は同じですが、「放っておき対応しない」か「とりあえず対応する」かという意味では全く違います。「等閑」は全く放っておくという意味になりますので、二つの意味の違いをしっかり理解して使い分けましょう。