今回は、うつ病で休職や転職を繰り返しながら、現在も奨学金の返済を続ける40代女性のエピソードを紹介します。
回答者のプロフィール
回答者本人:40代女性在住:大阪府吹田市
家族構成:既婚(子なし)
住居形態:持ち家(マンション)
職業:無職
年収:0円
現在の貯金額:300万円
回答者の奨学金の状況
借りた奨学金の種類:貸与奨学金返済状況:現在も返済中
奨学金で利用した金額(総額):420万円
奨学金の返済残高:80万円
奨学金の月々の返済額:2万円
奨学金以外に借入しているもの:住宅ローン1000万円
独立行政法人日本学生支援機構の令和2年度学生生活調査結果によると、奨学金制度を利用している大学生の割合は49.6%、修士課程では49.5%と半数に近い割合になっています。
実家の援助を受けられず奨学金を利用
奨学金を利用して大学と大学院に進学した回答者。奨学金を借りた理由について、「実家から離れた大学と大学院に進学するにあたり、学費と生活費について実家からの援助を受けることが難しかったためです」と語っています。
続けて、「アルバイトをいくつか掛け持ちしていましたが、それだけでは学費、生活費をとてもまかなえなかったからです」と、複数のアルバイトに取り組みながら学業に励んでいた当時の状況を告白。多忙だった学生時代について言及しました。
うつ病で休職「収入がない状態での返済がしんどい」
回答者は卒業後、うつ病によって休職や転職を繰り返したそうで「収入がない状態で奨学金を返済することがしんどいと思います」と吐露。「自身がうつ病で働けないとき、これから先どうやって返済していこうと思い、とても不安になりました」と、病気で収入が減少し、奨学金返済に思い悩んだ経験を打ち明けました。
また、「奨学金を2種類併用して借りていたため、最初の方は月の返済額が3万円をこえており、新卒のお給料が少ないときの返済はとてもきつかったです」と、給与が少ない新卒時代の苦悩にも言及。
「ここまで返済が苦しいなら、大学院に行く必要はなかった」
収入減少による悩みに加えて、「結婚する際も、多額の奨学金返済があるということを相手に打ち明けることが不安でした」と、結婚する際に奨学金が足かせとなった経験を話した回答者。「ここまで返済が苦しいなら、大学院に行く必要はなかったと思います」と、返済に苦しみ、大学院への進学を後悔している現在の心境を明かしています。
リスクの情報が少ない社会に不満「奨学金の案内だけが出回っている」
奨学金の返済を進めるため、回答者は副業によって収入を増やしたとのこと。臨時収入の大半を返済に充てるといった工夫を話した後、「利子ありと利子なしの両方を借りていたのですが、利子なしのものだけを借りておけばよかった」「返済不要のものなども可能なかぎり調べればよかった」と、奨学金に関するさらなる後悔を語りました。
また、「まだ学生にとって世の中のことを想像することは難しいので、安易に奨学金の案内だけが出回り、返済のリスクなどの情報が少ないことにも不満を覚えます」と、奨学金の利用を勧める情報が目立つ現在の社会に言及。
悔いのない選択をするために、政府には学生が奨学金のリスクを十分に把握できる情報の提供が求められています。
※回答者のコメントは原文ママです
この記事の筆者:てらこ
横浜生まれ横浜育ち。グルメと深夜ラジオを愛するライター。FP2級。銃弾を防ぐ少年団と、ポケットに入るモンスターも大好き。最近の悩みはアイスの買い置きが一瞬でなくなってしまうこと。X(旧Twitter):てらこ@ライター(@TeraWEB1)